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三重

<候補者の横顔> 

2019年7月6日

 参院選の二十一日の投開票に向け、三重選挙区(改選数一)に立候補した自民現職の吉川有美さん(45)、諸派新人でNHKから国民を守る党員の門田節代さん(51)、元県議で無所属新人の芳野正英さん(44)は、街頭演説やインターネットを通じて支持を訴えている。投票する候補者を選ぶには力を入れる政策だけでなく、人柄や経歴も気になるところ。三人の素顔を紹介する。

 =上から届け出順

◆娘を膝に乗せて仕事 吉川有美さん(45)=自現

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 初当選後の二〇一四年、四十一歳で長女の心優ちゃん(4つ)を産んだ。「移動中はずっと膝の上。最近はだいぶん重くなってきました」。野党を批判するときは厳しい表情も、子どもの話題になると柔らかくなる。

 妊娠中も三重と東京を毎週のように往復し、切迫流産のリスクを指摘された。出産後は統一地方選のため二カ月で復帰した。「選挙を支えていただいた地方議員を応援しないと」と振り返る。

 すぐには保育園を見つけられない「待機児童」も経験した。国会の議員会館にベッドを置き、膝に子どもを乗せたまま、党の会議に出た。「私の妊娠中に、男性議員たちが話し合って国会の控室を禁煙にしてくれた」。男性中心の国会に、変化をもたらした。

 週末に地元に帰る際は、必ず娘と一緒。資料を読む膝の上で、娘は折り紙やお絵描きをする。電車内が親子の貴重な時間だ。桑名駅に着くと、列車のドア付近で両親に娘を預けて、そのまま県内の会合などに向かうことも多い。

 原点は、桑名市郊外で育った子ども時代。忍者ごっこが好きで、田畑を駆け回って「修行」をした。四日市市のメリノール女子学院高校三年のとき、学校でドイツのアンデルセンの森が酸性雨で失われつつあるビデオを見て、とっさに「私が守る」と決めた。

 東京農大、東京農工大院を経て、環境と金融の分野で働き、もっと大きく政策や制度づくりをしようと政治の世界に飛び込んだ。忍者の森がいつまでも守られる仕組みづくりを目指している。

 (森耕一)

◆子どもの下校見守り 門田節代さん(51)=諸新

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 政治への思いは、ずっとくすぶり続けていた。

 当選したらやりたいこととして、真っ先に「NHKをぶっ壊す」と掲げる。ただ、自身の経験を通じて、さまざまな疑問をほかにも抱いている。

 大阪府松原市出身。高校卒業後、かばん卸会社などで勤務してきた。証券会社ではパートとして働きながら、近畿大法学部法律学科で学んだ。その後、社会福祉士の資格も取得した。

 働いているときには、女性の社会進出に対する壁を感じた。「私もできれば、結婚しても出産しても正社員でいたかったが、それができなかった」

 大学在学中、そんな不満を知り合いに漏らしたところ、政治スクールの存在を教えられ、二十七歳のときに申し込んでみた。そこで学ぶうち、日本が諸外国に比べて女性議員が少ないことを知った。

 住んでいる伊賀市では、県のいじめ防止応援サポーターに登録するほか、子どもの下校時の見守りなどの活動にも取り組んでいる。

 NHKから国民を守る党としての活動は昨年から。千葉県の仲間の選挙を手伝い、「主婦でも政治家になる人がいるんだ」と実感した。地元でも街角で訴えるようになった。

 もっとも「小心者。あまり波風を起こしません」と自らを分析し、「選挙の『せ』の字も思ってなかった」。党代表からの呼びかけを意気に感じて、初めての戦いに挑んでいる。

 趣味は映画観賞。何でも見るが、「好きな映画は何回も見る」。気晴らしはカラオケという。

◆中学の頃政治に興味 芳野正英さん(44)=無新

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 その大きな体から「三重の西郷(せご)どん」。立候補表明後の集会で、かつて秘書として仕えた中川正春衆院議員に紹介されてきた。中学高校と陸上競技の短距離で体を鍛え、県議になってからもジムに通って仕上げた厚い胸板は、年配の女性に「たくましい」と好評だ。

 父の影響で小学校低学年から日本史にのめり込み、関心は次第に戦国、幕末から近代の政治に移っていった。中学校に上がるころには「政治に興味がある変わった少年」に。中学三年だった一九八九年の参院選、社会党が改選第一党になるのを見て「政治の流れが変わる面白さを知った」。

 京大時代に民主党だった前原誠司衆院議員らのスタッフとして働くうち、「一緒に日本の政治を変えよう」と口説かれた。政権交代ができる二大政党制を夢見て、卒業後は三人の国会議員秘書、四日市市議、県議と民主系で活動してきた。

 自らを「段取りをつけるのが得意」と語る。市議として取り組んだ近鉄内部・八王子線(現あすなろう鉄道)の存続では、赤字で廃線が議論される中、沿線五校の中高生らの通学の足を守るため、各校長をつなぐ橋渡し役となった。市議会では特別委員会をつくり、存続への道筋をつけた。

 二〇〇九年の政権交代に胸が熱くなったが、長く続かず、いつか目指したいと思っていた国政で民主系が分裂を繰り返した。国会に付き合いがある議員がいるし、今回の選挙には秘書仲間が何人も出馬している。当選したら立民、国民の両党に呼び掛けたい。「もう一度、一つになろう」と。

 (鈴鹿雄大)

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