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三重

10代投票率、上がるか 県選管啓発に芸能人、SNS拡散期待

2019年7月5日

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 三年前の参院選から導入された「十八歳選挙権」。この間、県内では衆院選や知事選などがあり、選管はあの手この手で若者へ啓発してきたが、投票率は下落傾向にある。十代が参加する二度目の参院選は、投票率にも注目が集まる。

 県内で初めて十八、十九歳が投票した二〇一六年の参院選では、事前に県選管や市選管が高校で模擬投票を行ったり、大学でお笑いコンビを招いたイベントを開いたりした。だが、投票率は十八歳が54・8%、十九歳が45・37%で、全体を下回った。続く一七年の衆院選では十八歳が50・48%、十九歳は34・38%と、さらに落ち込んだ。

 今年四月の統一地方選で、県選管は初めて、若者の利用が多い会員制交流サイト(SNS)への動画広告を開始。十代の利用者の画面に広告を配信し、写真投稿アプリ「インスタグラム」なども活用した。十代の投票率は集計中だが、「全体的に良くなかった」(担当者)と、思ったほどの効果は出ていない。

 今回は動画広告に、名張市出身のお笑い芸人チャンカワイさんを「選挙啓発臨時大使」として起用。若者に人気と知名度が高い芸能人の力を借りる。六日にイオンモール津南、七日には三重大と津市内で本人出演のイベントを開く。担当者は「メディアやSNSで拡散しやすいイベントを開き、PRしたい」と話す。

◆「主権者教育こそ重要」三重大・岩本教授

 一方で、若者への啓発方法には疑問の声も。三重大人文学部の岩本美砂子教授(政治学)は十代の投票率の低さについて「そもそも選挙が面白く見えないからではないか」と話す。「SNSやイベントはやらないよりはましだが、選管にできることには限度がある。高校までの主権者教育こそ重要」と指摘する。

 学校教育で、模擬投票だけでなく各政党の特徴や主張まで教えるべきだと提案する。岩本教授は「今は政党の入れ替わりが激しく、ついていくのも大変。興味を持たせるためにも踏み込んで教える必要があるのではないか」と話した。

(熊崎未奈)

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