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三重

参院選、今回も激戦か 自民・吉川さんと無所属・芳野さん

2019年6月13日

 参議院選挙は七月四日公示、二十一日投開票となる見通しが強まってきた。野党側が候補者を一本化する三重選挙区(改選数一)は、自民現職の吉川有美さん(45)と、無所属新人で旧民進系地域政党の三重民主連合が推薦する芳野正英さん(44)の一騎打ちで、激戦となる可能性が高い。両陣営はそれぞれ「追いかける立場」と厳しさを強調し、活動を活発化させている。

 自民の吉川さんは、今月八日の伊勢市を皮切りに、月末までに県内九カ所のホールで決起集会を開く。二十三日の菰野町に駆けつける菅義偉官房長官をはじめ、七会場に閣僚経験者ら幹部が応援に入る予定。党本部も三重を「激戦区」として支援する。

 党県連の三ツ矢憲生会長は「やっと取り戻した議席を失うわけにはいかない」と話す。三重選挙区で自民は、一九九八年に参院議長だった斎藤十朗さんが六選を決めた後、補選を含め非自民の高橋千秋さん、芝博一さんに五連敗。二〇一三年に吉川さんが高橋さんを破って、十五年ぶりに議席を獲得した。その三年後は芝さんが勝利している。

 吉川さんは演説で、与党現職としての実績を強調する。人気者の小泉進次郎衆院議員らと党内の若手グループで、将来の社会保障のあり方を議論してきたことを説明し、自公で幼児教育の無償化を実現したとも強調。「政権与党でなければ、皆さんの声を実現することも、制度を作ることも、予算を獲得することもできない」と、時折涙を浮かべながら声を張り上げる。

 一方の芳野さんは、三年前に当時の民進党の芝さんが二万票差で自民新人に勝利した戦いの再現を狙う。今回も共産が候補を取り下げ、芳野さんが野党統一候補となった。だが、民進党は消滅しており、野党分裂を嫌った岡田克也衆院議員らが設立した三重民主連合の推薦を受けて出馬する。

 四月まで県議で、課題は出身地の四日市市以外での知名度の低さ。このため岡田さんや中川正春衆院議員と街頭演説や集会を繰り返している。岡田さんは九日、東員町で「芳野さんは馬力もあり政策にも強い。最大の問題は知名度がないこと。皆さんで広げてもらいたい」と呼び掛けた。

 岡田さんは民進党代表だった三年前と異なり頻繁に三重に戻っている。「今は岡田さんが集会をするときは必ず芳野さんとセット。今回は三重に集中できる」と側近の県議は話す。

 芳野さんは演説で「安倍政権のもとでの憲法改正を認めない」と主張するなど、政権との対決姿勢を強調。老後に二千万円が不足するとする金融庁の報告書も取り上げ「全体的な福祉制度の見直しをしない限り、安心を実現することはできない」と、有権者の関心が高い年金や福祉分野の訴えにも時間を割いている。

(森耕一、鈴鹿雄大)

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