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石川

【データで読む北陸図会】(8) 変化求めず 政治見放す

2019年7月23日

石川・投票率全国平均割れ 川北・低下も80%超 「本紙調査」

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 自民党の圧勝で幕を閉じた参院選。一夜明けた22日、石川選挙区の選対幹部に充実感はなかった。「締めても締めても楽観ムードが拭い去れない選挙だった」。自民のベテラン県議は浮かぬ顔。野党側の幹部も「気温のせいだけではなく、寒いなという感覚だった」。原因は過去最低を大幅に下回った投票率だ。

 戦後25回で50%を割ったのは石川で初。今回、富山を含め、投票率に地域間の格差が顕著に出た。市街地から離れた地域は慣習が残り、高い投票率を維持。一方、人口が集まる県庁所在地やその近郊は転出入が多く、若い世帯を中心に地域への関心が希薄になりがち。低投票率の傾向が、あらためて浮かんだ。

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 直近3回の国政選挙について、本紙が独自にまとめた石川県の自治体別のランキングで川北がすべて80%超で首位。ワースト3を約30ポイント引き離す。今回は最下位の金沢が40%を割り、ダブルスコアの差がついた。

 富山県では隣県との境にあり、高齢化が進む南砺、小矢部、朝日が3回ともベスト3。人口40万都市の富山はすべてワーストだ。

 両県ともに全自治体で2016年の前回参院選を下回る異常事態。足を引っ張るのは政治に興味が薄い若者だ。今回の年代別投票率は総務省が取りまとめ中だが、全体の傾向から低投票率が続く可能性がある。政治参加を促す18歳選挙権は前回導入された。当時は両県とも何とか40%を超えたが、17年の衆院選で30%台に転落。20代前半はさらに深刻で、富山では20%台も記録した。

 「政治不信というより政治へのあきらめだ」。富山県立大非常勤講師で兵庫教育大大学院の小南浩一教授(政治学)は指摘する。有権者の目を引く魅力的な対立構図がつくれない既存政党のふがいなさに触れて「悪いなりにも現実は何とか回っているため、有権者も変化を求めようとしていない」とみる。ただ、この全国的な低投票率でも「れいわ新選組」が2議席を獲得。「不透明感が漂う現状を打破してほしいとの思いが見て取れる」という。小南教授は「目を凝らせば面白い候補者や政党が見つかる。課題を抱えた日本の現状を知れば、このままでいいのかと考え、行動につながる」と話した。(参院選取材班)

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