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石川

投票所に段差 遠のく有権者 県内4分の1 非バリアフリー 本紙調査

2019年7月20日

障害者団体「当たり前の環境を」

 二十一日投開票の参院選で、石川県内十九市町に開設される全四百六十一の投票所のうち、およそ四分の一が、バリアフリーでないことが、本紙の調査で分かった。全体の一割近くは簡易スロープさえなく、市町職員らの介助に頼る。高齢者をはじめ、障害者らが不自由を強いられていないか、実態を把握していない市町もあり、問題意識の希薄さが浮かぶ。(参院選取材班)

投票所として使われる施設に設けられたスロープ=金沢市内で

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 全投票所のうち、段差のある施設は市町選管が把握しているだけで百八カ所。このうち、少なくとも七十二カ所は移動式の簡易スロープがある。残る三十六カ所は職員が介助する。バリアフリー化が進むのは野々市や内灘、志賀、中能登の一市三町。投票所の段差があるかを正確に把握していないのはかほく、加賀、能美、白山の四市。

 二〇一一年の改正障害者基本法では、円滑な投票に向け、国や地方公共団体に施設整備や必要な施策を義務づける。罰則はない。

 「町内会の所有施設で改修に踏み切れない」(白山市)との声もあれば、「介助で間に合っている」(輪島市など)という選管もあるが、介助されることに遠慮して投票所から遠のく懸念もある。高い投票率を維持する川北町ではバリアフリー化施設で期日前投票をする車いす利用者が多い。選管担当者は「当日の投票所はバリアフリー化していない所もあり、車いすで入りにくいという声も聞く」と明かす。簡易スロープの購入を検討しており、次期衆院選までに対応する。

 各市町は車いす用の記載台を設け、一部では投票所までバスで送迎している。穴水町では手話ができる職員が選管で待機し、要望に応じて投票をサポートする。県身体障害者団体連合会の担当者は「障害者や高齢者らが一人でも当たり前のように歩けるまちづくりが必要。それは投票環境だって同じ」と話している。

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