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石川

舌戦 静かな幕開け

2019年7月5日

 4日公示された参院選は17日間の選挙戦に入った。石川選挙区では自民現職の山田修路さん(65)と野党統一候補で国民民主新人の田辺徹さん(58)がそれぞれ金沢市内で第一声。時間をかけて訴えた内容を分析すると、安倍政権の是非や地方創生政策への訴えはあったが、争点にも挙がる憲法や年金問題には触れずじまいだった。

「地方創生強い思い」 山田修路さん(65)=自民現職

(上)笑顔で有権者に駆け寄る山田修路さん=4日、金沢市尾山町で

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 「国会議員や県議、市町議、そして地域の皆さんとともに、石川県を巡るさまざまな問題に対応してきた」。山田さんは国、県、市町との連携を強調し、一期六年の実績アピールに最も時間を費やした。

 手取川の汚濁、日本海における北朝鮮の違法操業問題などへの対策を関係省庁に働き掛け、総務政務官のの時に森林を整備・管理する財源として創設した森林環境税にも言及。「地方と都会の格差是正にも取り組んできた」と述べ、東京一極集中を解消する地方創生への思いをにじませた。

 地方創生は北陸新幹線の開業に絡めて踏み込んだ。観光客が増え、ホテル建設が進んだことを「好調な状況」と評価。「県内を見ると発展はまだまだの所もある」と指摘し、二〇二三年春に迫る敦賀延伸に向け「もう一回、石川県がステップアップするチャンス。力を結集し、新たな発展に取り組みたい」と誓った。

 野党批判はなく「生易しい選挙ではないと思っている」と気を引き締めた。

「安倍政権にノーを」 田辺 徹さん(58)=国民新人

(上)有権者の目を見て握手を交わす田辺徹さん=4日、金沢市若宮で

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 「落下傘か、庶民の声も伝えられない自民党の議員か、どちらがいいか」。田辺さんは地縁のない石川県で戦う思いや、オペラ歌手から政治家に転身する理由の説明に時間を費やした。

 「それぞれの人生を歩んできた人がそれぞれの言葉で、政治の場において(政策を)実現していくことが政治のあるべき姿」と、多様な市民が政治に携わる意義を語った。「オペラ歌手が政治家になることになんら問題はない」と続けた。

 出馬表明から半年。保守王国の石川県をくまなく回り、自民一強を実感したと強調。毎日続けてきた街頭演説での市民の反応から「風は吹いてきている」と手応えも語った。

 地方創生については「中小企業への支援が中途半端。官庁の地方移転もおざなりで進まなかった」と指摘。「地方創生にいいかげんだった安倍政権にノーを突きつけることが県民のためになる」と訴えた。

 自民陣営に向けて「あなたたちには負けない」と強い口調で決意した。

「次世代に元気な地域を託したい」 比例・宮本周司さん

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 比例代表で再選を目指す自民現職で、全国商工会連合会顧問の宮本周司さん(48)=能美市出身、写真(中)=は四日、白山市の白山比●(ひめ)神社で出陣激励大会に臨んだ。「地域を元気にしようと中小企業、小規模事業者のために一生懸命動いてきた」と強調。「次世代に元気な地域を託せるよう、この挑戦を成就したい」と支持を訴えた。

 県関係国会議員や谷本正憲知事、井出敏朗能美市長らも激励。全国商工政治連盟女性部長らの音頭でガンバロー三唱した。

きょうから期日前投票

 参院選の期日前投票が五日に始まるのを前に、金沢市などで四日、期日前投票所の設営作業があった。

 期日前投票所は県内十九市町の八十カ所に設置。二〇一六年の前回より、商業施設や病院などに九カ所増えた。期日前投票は原則、五〜二十日の午前八時半〜午後八時。一部、期間や時間が短い場所もある。

文書関係で6件の警告

 参院選の取り締まりで、石川県警捜査二課は四日までに文書関係で六件の警告をした。前回の二〇一六年の参院選ではポスターの掲示などで十四件の警告があった。

※文中●は口へんに羊

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