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岐阜

野党共闘、効果どこまで?

2019年6月25日

 七月四日公示、二十一日投開票が想定される参院選では、全国三十二の一人区すべてで野党共闘が実現する。岐阜選挙区(改選数一)でも、自民現職の大野泰正さん(60)に、立憲民主の新人梅村慎一さん(48)が野党統一候補として挑む予定だ。ただ、政治路線の異なる各党などの同床異夢には難しさも浮かぶ。実効性のある共闘で、相乗効果をどこまで高められるのかが焦点となる。

 「安倍政権打倒のため全力で頑張る。この一点で歩みを一つにしていこうではありませんか」。立民、国民民主、連合岐阜が二十一日、岐阜市で開いた総決起集会。梅村さんは立場の違いを超えた結束を訴えた。

 立民、国民の両県連と連合岐阜は昨年十二月、梅村さんを全国に先駆け統一候補に決めた。呼び掛けたのは、党単独では勝利が厳しい立民。独自の擁立が難しい国民と思惑が一致した。

 これに歩み寄ったのが共産だ。党県委員会は別の公認候補の擁立を発表していたが、安倍政権への批判票を梅村さんと分け合えば共倒れの可能性がある。党中央で調整した結果、共産は五月に擁立を取り下げた。

 ただ、二〇一六年の参院選に続く共闘が実現したとはいえ、野党側の危機感は強い。一議席を自民現職と旧民進現職で争う事実上の一騎打ちとなった、三年前。五十三万票余を獲得した自民現職に、野党統一候補として臨んだ旧民進現職は約十四万票差で敗れた。

 共闘のあり方も手探りが続く。立民、国民、共産、社民の四党の接着剤となっているのが、三年前と同様に野党各党の県組織と市民団体でつくる「ピースハートぎふ」。背景には立民と国民双方の支持母体・連合岐阜と、共産の溝がある。

 連合岐阜は政治思想の異なる共産と直接、連携すれば傘下組織の反発が避けられないと判断。野党勢力が一堂に会するのは「ピース」の集会だけで、梅村さんの事務所開きなどすら共産関係者は姿を見せない。

 連合岐阜の関係者は「共産とは同席できない。ピースハートがぎりぎりの妥協点だ」。共産県委の幹部は「今後も同じ場に立って梅村さんを応援するのは難しいだろう。ただ、梅村さんは積極的に野党統一候補を名乗っており、三年前より進歩だ」と受け止める。

 一方、共闘の現状に「三年前とそれほど大きな違いがあるとは思えない」と漏らす選対幹部もいる。

 梅村さんの総決起集会に出席するため、来県した立民の枝野幸男党代表は、岐阜の共闘について「大変うまく機能している。集まって一緒にやることが効果的だとは全く思わない。それぞれの持ち味を最大限発揮することが大事だ」と強気の姿勢を崩さなかった。

 保守王国に風穴をあけられるのか。野党共闘の真価を問われる夏が来る。

(長崎高大)

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