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福井

政策、視覚に訴える 政見放送、映像持ち込み解禁で

2019年7月19日

 今回の参院選から、選挙区候補者の政見放送に変化が生じている。昨年六月の公選法改正に伴い、候補者が用意した映像を各放送局に持ち込めるようになり、福井選挙区(改選数一)でも共産党新人で野党統一候補の山田和雄さん(52)、自民党現職の滝波宏文さん(47)=公明党推薦=が導入した。県内で撮影した映像を趣向を凝らして編集し、それぞれの政策を視覚的に訴える様子は、プロモーションビデオのような出来栄えとなっている。

 これまでの政見放送は、候補者が各放送局のスタジオに足を運び、着席して一人で政策を訴えた。参院選の選挙区は放送時間が五分三十秒以内。本人の費用負担はなく、手話通訳や字幕の挿入も認められていなかった。

 今回からは、導入済みの衆院小選挙区と同じように収録形式が原則自由となった。屋外での撮影も可能。制作費は二百八十七万三千円を上限に公費負担がある。手話通訳はスタジオ収録、持ち込みともに導入でき、字幕は持ち込み方式のみ挿入可能になった。

 山田さんは全国の改選一人区で唯一、共産公認の野党統一候補。党の中央委員会が、撮影のために職員や業者を福井に派遣する力の入れようだった。六月下旬の晴天の日に福井市の足羽山などで撮影した。県民の相談に乗るシーンを織り交ぜたほか、二十七歳で旧三国町議に初当選した時などの懐かしい写真も見どころの一つ。志位和夫委員長も登場して党の政策をアピールする。

 滝波さんは県内の広告代理店に制作を依頼し、五月から撮影に臨んだ。JR福井駅周辺や坂井市の「牛の交差点」など、空撮を交えながら全十七市町の名所・催事を盛り込み、郷土愛を強調した。一期目の活動の一環として田植え機に乗った写真などを採用し、現場主義を印象付ける。プライベートの姿も積極的に紹介。最後は自民党総裁の安倍晋三首相が支援を求め、頭を下げた。

 一方、諸派新人で政治団体「NHKから国民を守る党」の嶋谷昌美さん(48)は、従来通りのスタジオ録画方式を選択した。

 三人の政見放送は動画投稿サイト「ユーチューブ」で視聴できる。

 (山本洋児、今井智文、尾嶋隆宏)

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