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福井

<私のリーダー論>(1)県スポーツ協会副会長・小竹英雄さん(77)

2019年7月11日

◆最後まで信念を貫く

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 理想のリーダーは「信念を最後まで貫く人」。そこには自らの「体操人生」からたどり着いた。

 一九九五年、鯖江市で開催された世界体操選手権。県体操協会理事長として誘致に奔走し、大会を成功に導いた。地方都市でも世界大会を立派に運営できることを示し、「体操のまち鯖江」を世界に発信した。

 誘致が順調だったわけではない。鯖江市には合計で十万人以上となる選手・観客を収容できるホテルがなく、空港からも遠い。国際体操連盟の会長から「鯖江には何があるの」と尋ねられ、当初は「地場産業があります」と答えるしかなかった。当時の県幹部からは「鯖江で開催するなんて、ネコがクジラを食べるようなもの」と冷ややかな言葉も浴びた。

 「鯖江でもやればできる」。それでも信念は曲げなかった。当時の鯖江市長らに、国際会議が開ける場所として響陽会館や西山公園を整備してもらえるよう掛け合った。選手らの宿泊場所となる福井市内から、大会会場のサンドーム福井までの道路整備も要請。周囲の理解で環境は整い、九〇年、米国やメキシコなどの候補地に競り勝ち、鯖江での開催が決定。「諦めず動けば、人は動くと実感した」。開会式では開催までの道のりを思い出し、こみ上げるものがあった。

 小竹さんが挙げる、もう一つのリーダーの条件は、「過去の栄光にとらわれないこと」。体操、スポーツを盛り上げるために、今も現場で汗をかく。鯖江体操スクールの代表を務め、鯖江市の体育館で体操に励む子どもたちを見つめる。「あの子、最近、伸びてきたんだよ」。うれしそうに語った。

 (籔下千晶)

     ◇

 安倍首相の通算在職日数が歴代三位となった。「安倍一強」と言われる中、そのリーダーシップは議論の的であり続ける。参院議員も、地方などから選ばれる指導者の一人と言える。あるべきリーダーの姿とは−。県内各界をけん引する人たちに、それぞれの「リーダー論」を語ってもらう。

 <こたけ・ひでお> 鯖江市出身。12歳で体操を始め、鯖江高3年時に東京国体に出場。中京大卒業後、指導者に。1968年の福井国体でコーチとして種目別天皇杯獲得に貢献。日本体操協会の要職を歴任し、現在は同協会顧問。県スポーツ協会副会長。

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