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福井

<政策討論会>(5)年金/歴史上の人物に例えると

2019年7月10日

 参院選福井選挙区(改選数一)の立候補者による本紙の政策討論会最終回の主なテーマは「年金」。国民の年金不安をどう解消するのかに議論は及び、野党統一候補で共産新人の山田和雄さん(52)は、大企業や富裕層への課税強化で年金財源を安定化すべきだと主張。自民現職の滝波宏文さん(47)は分配できるパイを大きくする経済成長が鍵と指摘する。「歴史上の人物に例えると」との質問では、候補者の人柄が浮かび上がった。

 <老後2000万円問題> 6月に金融庁の報告書から起きた老後不安。夫婦が定年後に95歳まで生きると、月5万円の赤字が出るため年金以外に2000万円の蓄えが必要と試算。年金だけでの生活維持は難しいとの見方を広めた。

◆老後2000万円問題

 −老後二千万円問題で公的年金への不安が広がっている。

 滝波 「二千万円足りなくなる」は非常にミスリードで不適切だった。しかし、支出をみると、教養娯楽費とその他支出の合わせて八万円というのがある。だから月五万円足りないが、それを我慢していけば年金などでカバーされる。要は必要な部分は年金でみられますよ、ということが裏から示されている。

 山田 滝波さんの発言は「高齢者は娯楽を我慢しろ」と聞こえる。党は「減らない年金」にするため(公的年金の給付額を抑える)マクロ経済スライドをやめようと提案した。

 年金の問題でも高額所得者が優遇されている面がある。年収一千万円の水準を超えると、年金保険料が増えない仕組みになっている。この上限を二千万円に引き上げれば、一兆六千億円保険料収入が増える。うち一兆円使って、マクロ経済スライドによらない減らない年金を作っていけると思う。大事なのは高齢者にも健康で文化的な生活を送ってもらうことで、高額所得者には相当の負担をしてもらわないといけない。

 −滝波さんは年金の不安解消にどのように取り組む。

 滝波 マクロ経済スライドの廃止は七兆円必要だと聞く。一兆円出すのは一つの策と思うが、でっかい仕組みに見合わない。

 不安解消の鍵は、経済成長をどう作るか。私の訴える「地方の成長なくして、わが国の成長なし」で地方・中小企業が成長を得られるようにしたい。そして、皆で助け合う所得再分配は政府の一番大事な機能。成長で分配するパイを大きくする。

 −山田さんは、どのような年金制度が望ましいと思うか。

 山田 冒頭で言ったが、大企業とか富裕層への課税強化も、年金安心化の財源になっていくことは明白。大もとにある不公平感をなくしていくのが大事。

◆歴史上の人物に例えると

 −自分を歴史上の人物に例えると誰になるか。

 山田 おこがましいですが、勝手に親近感で「開高健さん」です。

 同じ時代の空気を吸い、同じ時代感覚の中で作品に接して、似ているんじゃないかという人を選ばさせてもらった。私よりも年長者。若いころから大好きで、釣りを題材にしたルポルタージュの映像作品を見ていても非常に情熱家。行動力もあるが、その一方で恥ずかしがり屋で自分の殻に閉じこもろうとするところもある。絶対的に相反するものが一つの体の中に同居してくるくるしているところが、恥ずかしいですが僕にもあるので。

 滝波 憧れている人なら(元衆議院議長の)福田一先生です。

 大学三年の時に地元(大野市)でお会いした。引退していて、高校も大学も一緒な私に「一年間必死に勉強すれば司法試験でも何でも受かる」と激励してくれた。その後、大蔵省に受かり報告に行ったら大変喜んでくれた。入省の時に保証書を出すが、一通はうちの父親が書き、もう一通はダメ元で福田先生に頼んだら「いいよ」と。ぴしっと通った背筋で、ギロッとした感じで(亡くなった今も)日々叱咤(しった)激励をいただいている。娘と(大野の)亀山に登って下りてくると、先生の墓にお参りをさせてもらっている。

       ◇

 政策討論会後に出馬会見した諸派新人で政治団体「NHKから国民を守る党」の嶋谷昌美さん(48)には本社で、同じ質問を記者が尋ねた。

 −年金への不安が広がっているが。

 老後に二千万円の蓄えが必要という話があるけど、実際にはもっと足りなくなると思う。今は厚生年金の話であって、国民年金(だけの夫婦)は年金支給額がもっと少ないはずだから。払った分は必ず戻ってくる年金制度が理想だ。しかし、難しいと思う。

 −自分を歴史上の人物に例えると。

 憧れる人は田中角栄。尋常小学校卒業で、一代で(首相の立場を)築き上げてあれほどの求心力があったのはすごい。今になって出版される本も多い。格好いいと思う。

 =終わり

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