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福井

野党共闘、そろわぬ足並み 一人区で唯一、共産が統一候補に

2019年7月9日

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 参院選の福井選挙区は全国三十二の改選一人区で唯一、共産候補が野党四党の統一候補になった。原発立地県の福井。立憲民主、国民民主、共産、社民各党の県組織には原発などへの考え方に違いがあり、共闘は限定的だ。共産候補は公示後、街頭で反原発の訴えを繰り返し、独自色を強めている。

 共産新人の山田和雄さん(52)の応援のため、共産の志位和夫委員長が五日に福井入り。街頭演説で「原発ゼロ」を訴えた。

 ただ、他の野党の県幹部の姿はなく、メッセージが読み上げられるにとどまった。

 山田さんは昨年三月に共産公認での出馬を表明。福井では立民、国民もそれぞれ候補擁立を模索したが難航した。今年五月、中央での野党間調整で山田さんが統一候補に決定。

 国民や立民側は山田さんの無所属での出馬を求めたが、共産側が公認にこだわった。

 全国の改選一人区では、「鳥取・島根」と「徳島・高知」の二選挙区で共産系候補の無所属への切り替えが決まっており、「一カ所は共産公認で戦いたい」と望んだという。最終的に、他の三党は山田さんへの推薦や支持を出さなかった。

 共産とは考え方に隔たりがある労働組合の連合福井は、早々に「参院選には関与しない」と表明。連合福井には電力会社の労組も加わっている。国民福井県連幹部も野党共闘に距離を置いており、共産について「エネルギー政策などの違いがある」と語る。

 野党共闘をまとめる市民団体「ピースふくい」は山田さんと政策協定を結んだ。「消費増税中止」などを盛りこんだものの、各党県組織の事情を考慮し、原発に触れなかった。

 山田さんは公示前、「ピースふくい」が主導して開いた演説会では「反原発」の訴えを封印。公示後は共産独自で設定した演説会が続き、「原発ゼロを目指し、世界一の原発密集地の福井から声をあげたい」と訴えている。

 一方、自民現職の滝波宏文さん(47)は経済産業政務官。原発などエネルギー政策を所管する経産省で政策決定に関わる立場だ。公示後の第一声で「原子力、再生エネルギー、火力をバランスよく組み合わせて、現実的で責任あるエネルギー政策を進める」と訴えた。

 六日には、上司に当たる世耕弘成経産相が応援で福井入り。滝波さんは、自民党支持層が分裂した四月の知事選で、自民推薦候補の応援に動かなかったとして、党県連内部から批判を受けている。

 世耕経産相は「経産省はエネルギー政策を所管する。(立地自治体との関係に影響する恐れがあるため)私が業務命令として、知事選に関与することまかりならん、と言わせていただいた」とかばい、結束を呼び掛けた。

(今井智文)

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