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福井

<政策討論会>(3)北陸新幹線/アベノミクス

2019年7月8日

 参院選福井選挙区(改選数一)の立候補者による政策討論会三回目の主なテーマは「北陸新幹線」。野党統一候補で共産新人の山田和雄さん(52)と自民党現職の滝波宏文さん(47)は、二〇二三年春の県内延伸後の特急存続にともに前向きな姿勢を見せる一方、未着工の敦賀−新大阪間の整備では、山田さんは「敦賀で止める」、滝波さんが「早期開業」と意見が対立。アベノミクスへの評価も併せて紹介する。

滝波宏文さん

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 −国がフリーゲージトレインの導入を断念したため、開業時に敦賀駅で新幹線と特急との乗り換えが生じる。利用者の負担をどう最小化するのか。

 山田 在来特急は残してもらわないといけない。当初の計画段階で「サンダーバード」「しらさぎ」と変わらない利便性とのうたい文句でフリーゲージトレインの開発が進められたが、うまくいかず頓挫した。約束は履行されないといけない。新幹線料金を払って不便では、県民は納得できない。国、県、JRで話し合い、特急を存続すべきだ。

 滝波 敦賀は在来線と新幹線の駅が横移動で二百メートル、縦移動で二十メートルと非常に離れている。特急が新幹線の下に入り、縦移動だけで済むようになった。加えて、交通分断を回避するやり方として、特急存続もある。とりわけ、しらさぎは大阪でなく中京方面に行く別のものだから(存続に)尽力したい。県とJRの話し合いになるが、うまくいくよう頑張りたい。

 −敦賀以西の整備に対する考え方は。

 山田 整備新幹線は、自治体負担が非常に大きい。敦賀で止めて、これ以上、自治体負担を増やさないことが大事だ。個人的な見解だが、敦賀はシベリア鉄道の玄関口で、今も大正ロマンの雰囲気が漂う大好きなまちだ。歴史的背景があり、今庄−敦賀間は鉄道の聖地という位置付け。新幹線とリンクさせ、敦賀で止めることで新しい存在感、価値を高めていける。新大阪へつなぐと通過駅になり、ほかのまちと何ら変わらない。

 滝波 敦賀で止めるというのは驚きだ。敦賀駅での利便性確保に一番大事なのは、早く財源を見つけ新大阪につなぐこと。北陸新幹線は東京と大阪の二大都市間を国土強靱化(きょうじんか)のバックアップ新幹線としてつなぐことに大きな意義がある。過去の例をみると、事業費の半分は貸付料(JRが国に支払う施設使用料)で、残り半分を二対一で国と地方が負担する。早急に各自治体の理解を得て、国費を増やす一方、貸付料の期間延長なども求めたい。

山田和雄さん

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◆アベノミクス

 −安倍首相が六年半取り組んだ経済対策への評価は。

 滝波 安倍政権ができてから六十兆円、GDPが名目で増え10%の成長になっている。人口減の中でどうやって成長を作っていくかは至難の業だが、アベノミクスは成功している。全都道府県で有効求人倍率が一倍以上と四半世紀ぶりの高水準になり、しっかりと雇用も作られた。働き方改革もやっている。我が国の生産性を向上させるアベノミクスを評価している。

 山田 大企業の利益は上がった。一方でワーキングプアと呼ばれる年収二百万以下の人たちは十二年連続で一千万人を超えている。全体で実質賃金も減っている。アベノミクスの本質は大企業、経済力のある人を余計元気にし、やがて庶民におこぼれをくだしてくれるのではないですか、という期待でしかない。極端な貧困と格差を広げる政策でしかなかった。

     ◇

嶋谷昌美さん

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 政策討論会後に出馬会見した諸派新人で政治団体「NHKから国民を守る党」の嶋谷昌美さん(48)には本社で、同じ質問を記者が尋ねた。

 −北陸新幹線に関する特急存続への考えは。

 今まで通りサンダーバードは、利用できるようにすべきでは。今あるものがなくなるというのは問題だと思う。

 −敦賀以西の整備をどう思う。

 そこまでお金を出す価値があるのか。違うことにお金を使った方がいい。福井は(外国人観光客の)インバウンドが少ないが、新幹線なら来るのだろうか。

 −アベノミクスへの評価を聞きたい。

 企業の内部留保が増えただけで、従業員には一切回ってきていない印象だ。消費税を十月に上げると一気にあかんようになるのではないか。

 <フリーゲージトレイン(FGT)> 新幹線と在来線を相互乗り入れできる軌間可変電車。北陸新幹線の未着工区間(敦賀−新大阪)では全線開業までの暫定措置として導入計画があった。ただ国土交通省は昨年8月、車両開発の遅れや採算面などを理由に、導入断念を発表した。開発には20年余りで500億円が投じられた。

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