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福井

<政策討論会>(1)最も重視する訴え/自民対野党

2019年7月6日

 中日新聞社と日刊県民福井が六月二十二日に開いた参院選福井選挙区(改選数一)の立候補者による政策討論会では、野党統一候補で共産新人の山田和雄さん(52)と自民党現職の滝波宏文さん(47)が論戦を交わした。詳報一回目のテーマは「最も重視する訴え」と「自民対野党」。滝波さんは野党共闘について「大いなる脅威だが、原子力政策の立ち位置が整理されているのか」と指摘し、山田さんは「将来にわたってのエネルギー政策など十三項目の共通項を持つ。責任ある共闘だ」と述べた。 (席順はくじで決めた。司会は伊藤博道・前中日新聞福井支社長)

滝波宏文さん

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 −最も重視する訴えは。

 滝波 地方の成長なくして、わが国の成長なし。人口減少の最前線である地方こそが成長しないといけない。経済産業大臣政務官を昨年十月に拝命し、その直後から座長になってグローカル成長戦略研究会をつくった。大都会・大企業に偏った成長戦略を、地方・中小企業に焦点を合わせ、福井、地方が成長センターになっていく。別の言葉だと、次世代がふるさとに戻る活力ある福井、日本をつくっていく。その実現には新幹線などのインフラ整備、産業基盤のエネルギーについて現実的で責任ある政策が必要だ。

 山田 不公平すぎる税制を改めて、暮らしに希望を。貧困と格差が顕著になる消費税増税に代わる財源を求め、暮らしを輝かせる。例えば大企業の法人税率を中小企業並みに引き上げる。税金の無駄遣いもただす。これらで七兆五千億円を捻出し、労働分野では時給を上げ八時間働けばちゃんと生活できる社会をつくる。教育分野では返す必要のない奨学金の実施などで学ぶ意欲を応援する。社会保障分野では、高過ぎる国民健康保険をサラリーマン家庭並みに抑えていく。気持ちと財布に少しの余裕を持ってもらう。

◆自民対野党

 −野党共闘に至った経緯は。

 山田 自公連立政権は権力を維持し、強行する。閣僚や幹部による暴言、各省庁ぐるみの隠蔽(いんぺい)、改ざんも相次いだ。民主主義のルールを踏みにじる閉塞(へいそく)感、停滞感を打ち破っていこうと全国三十二選挙区で自民と野党の一騎打ちの枠組みが実現した。政治が変わるかもしれないという希望を、まず国民に持ってもらう。この時点で大きな意味を発揮している。

山田和雄さん

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 前回参院選の野党共闘は安保法制廃止の一点だけだったが、今回は十三項目の共通政策がまとめられた。安倍政権の打倒、平和と民主主義、暮らし、将来にわたってのエネルギー政策などもある。安倍政権後の政治にも責任を果たす。

 −野党共闘に対する滝波さんの受け止めは。

 滝波 大いなる脅威だ。過去の非自民政権で、共産党までは野党の連合に入っていない。今回はその一線を越えての共闘でびっくりしている。山田候補とは六年前にも相まみえたが、再度、しっかり論争しながら県民の信頼を得たい。ただ原子力については、野党の中で正直、全くかけ離れた政策になっている。立ち位置が野党共闘の中で本当にちゃんと整理されているのか、ずれているのではないか、と率直に申し上げたい。

 −野党共闘で、連合福井は支援を回避したが。

 山田 大切なのは、実際の政治の場で発言し、行動する政党が共闘を確認したことだ。組織を構成する個々人で共感し、動いてくれる部分があるのではないか。そういった思いが届く訴えを強め、本当の意味で野党と市民との共闘という形にするため頑張っていきたい。

 −滝波さんは四月の知事選を巡り、自民党県連執行部から批判が出ていた。

 滝波 保守分裂の知事選だった。福井は原子力の立地県。エネルギー所管の経産大臣政務官だから、世耕弘成経産相から「立地の首長選には関わってはならない」と言われた。それを守り、甘利明選対委員長にも話をし、了解をもらった。知事選の応援要請は双方の陣営からあったが、経産政務官の立場として動けない。ただ既に後援会と県連の合同選対会議を開き、県連でも選対本部長に山崎正昭会長に就いてもらい、一体化に向けてスタートが切れた。

◆NHK見ない権利を 嶋谷昌美さん

嶋谷昌美さん

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 今月二日に出馬会見を開いたため、先月二十二日に開かれた政策討論会に参加しなかった政治団体「NHKから国民を守る党」公認で立候補した諸派新人の嶋谷昌美さん(48)には、同じ質問を記者が尋ねた。

 −最も重視する訴えは。

 放送法改正によるNHK放送の「スクランブル化」を唯一の公約にする。言い換えればNHKを見ない人、見たくない人の権利を守るということ。実際、NHK受信料は法律上は払わなくてはいけないが、払わなくても罰則はない。好きで見て払っている人がいれば、見ていないのに払わされてる人もいる。そこに問題がある。

 −福井選挙区の「自民対野党」をどう見る。

 自民党は強いと思う。ただちょっと嫌だなと思う人もいて、その人が共産党に入れるとは思いにくい。だから第三の選択肢というか、右でも左でもない、中庸、真ん中なところを私たちが担えるのかなと。共産党候補が野党統一候補と言いながら、本当なのかと思うところはある。

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