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福井

<臨戦>(下)山田和雄さん 支持拡大へ共闘強調

2019年7月1日

野党や市民団体の代表者らと共闘をアピールする山田さん(中)=福井市で

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 「今回の参院選は自民党と野党の一騎打ちだ」。三十日昼すぎ、勝山市のスーパー前で山田和雄さん(51)が、立憲民主党県連の野田富久代表、社民党県連の森永慶治幹事長と並んでマイクを握った。

 野党共闘の仲介役を務める市民団体「ピースふくい」が三十日に県内六カ所で開いた街頭演説で、山田さんは三カ所で参加。買い物客らを前に、公的年金だけでは老後資金二千万円が不足するとされる問題などに触れ「この福井では私が、安心して暮らせる年金を守るために頑張り抜く」と、野党統一候補としての立場をアピールした。

 山田さんは六年前の参院選にも出馬したが、自民、旧民主、共産の三党で争う構図となった。約三万五千票を獲得した山田さんだったが、二十三万票超を獲得した自民の滝波宏文さんの圧勝を許した。「野党が割れて、自民を利する面があったのは事実だろう」と振り返る。

 野党共闘が持ち上がった三年前の参院選は無所属の野党統一候補に譲り、福井選挙区では立候補を辞退した。今回こそと昨年三月に立候補を表明。立憲民主などの候補者擁立が難航する中、五月に中央野党の調整で、野党統一候補に決まった。

 二十九日に開かれたピースふくいの臨時総会では、立民、共産、社民各党の代表者出席の下で消費増税の中止や「安心できる年金」などの政策協定を結び、協力態勢がようやく形になってきた。立民、社民は山田さんに推薦・支持は出さないものの最大限の協力をする方針で、「六年前や三年前よりも共闘の間口は広がり、政治が変わるかもしれないという期待や希望も高まっている」と期待をのぞかせる。

 ただ、三十日の街頭演説には、野党候補の一本化協議で中心となった国民民主党の関係者の姿はなかった。

 全国三十二の改選一人区のうち、中央協議で共産党候補への一本化が決まった選挙区は三つあったが、福井以外の候補者は野党間の連携しやすさから、無所属で立候補することが決まった。福井でも立民、国民、社民の三党が山田さんの無所属出馬を要請したが、共産側は一人区で唯一の公認候補として、譲らなかった。

 野党候補が十三万票を獲得した前回の参院選で集票にフル回転した連合福井は「非自民・反共産」の立場から選挙協力から離脱。国民県連も共産公認であれば政策協定は結べないという立場で、三十日の幹事会で「党の支持者から聞かれれば、野党統一候補への投票を勧める」という対応にとどめることを決めた。

 山田さんは「組織として動くのは難しい個人にも、政治を変えようというメッセージが届けば、動いてくれる」と強調。年金問題などをキーワードに、草の根の支持の広がりを目指している。

(今井智文)

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