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福井

<臨戦>(上)滝波宏文さん 県連と駆け込み結束

2019年6月30日

自民党県連の総務会終了後に到着し、山崎会長(左)と握手を交わす滝波さん=福井市の県繊ビルで

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 参院選は7月4日の公示まで4日となった。福井選挙区(改選数1)では、2期目を目指す自民党公認の現職滝波宏文さん(47)=公明党推薦=と、野党統一候補となった共産公認の新人山田和雄さん(51)が出馬を表明しており、それぞれ態勢づくりに全力を挙げている。夏の決戦へ走る立候補予定者2人に迫った。

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 「遅くなってすみません」

 二十九日夕、滝波さんが福井市の県繊協ビルの一室に姿を現した。自民党県連総務会は既に終了。記者の取材に応じていた山崎正昭県連会長は「待ってたんやぞ」。約七十人の出席者の前でするはずだった握手をし、「一生懸命やる」と言った。滝波さんと県連執行部の「駆け込み結束」がはっきりと示された場面だった。

 滝波さんはここ数年、県連執行部から何度も批判されてきた。二〇一七年十二月の県連定期大会で、山崎会長を選んだ方法に異を唱えたのが最初。「一年生のくせに」と厳しい声を浴びた。一年後に滝波さんが謝罪し、いったんは収まった。

 しかし、再び溝を作ってしまう。四月の知事選で、自民党推薦候補だった杉本達治氏の応援にまったく動かなかった。経済産業大臣政務官を務めていて「原発立地県の知事選では、大臣から『動くな』との指示を受けた」というのが理由だが、県連内の不信感は再燃。参院選まで三カ月ほどに迫った中、公認候補の差し替えを求める声も上がった。

 そんな滝波さんに助け舟を出したのは、党本部だった。五月から、甘利明選対委員長をはじめ党の有力者が続々と来県。滝波さんの国政報告会に加わった。八日に永平寺町を訪れた下村博文元文科相は「福井だけでなく、日本の宝」と持ち上げた。

 二十九日には萩生田光一党幹事長代行が越前市などに入り、滝波さんと県連執行部の関係を「夫婦げんかの域を超えていない」と表現。「党代表として伝えに来た。こんなことしていると(県内党員が)自民党を抜けてしまう」と指摘した。党本部が県内自民党をまとめるために威光を発揮したことで、県連執行部内の滝波批判は終息していった。

 滝波さんの中央での評価は高い。経済産業大臣政務官のポストは人気があり、毎回若手からの就任希望が相次ぐ。今回も多くの衆院議員が名乗りを上げたといい、一期目の参院議員が射止めるのは珍しい。

 政務三役に就いても、変わらないことがある。週末には可能な限り福井に帰り、団体の会合などに出席している。国政報告会では「地方の成長なくして、国の成長なし。どうか仕事をさせてください」と頭を下げた。

 ただ県連内の一部には依然として「応援できない」との不満がくすぶる。滝波さんは危機感を募らせ、国政報告会で懸命に訴える。「ふるさとを良くするため、皆さんの支えをいただきたい」

 (山本洋児、尾嶋隆宏)

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