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愛知

<解説>緊張感のある政治を

2019年7月22日

 与野党が二議席ずつを分け合った。改選数が一増えた三年前の参院選と同じ構図だった。

 圧倒的な支持率を誇る自民は、参院選のたびに県連内で浮上する二人目擁立論を封じた時点で勝利が見えた。一九九八年に二候補が共倒れした苦い経験は今も残る。堅実な戦いで酒井さんをトップ当選させた。

 公明の安江さんは連立政権二人目候補の位置付けで、自民の推薦を受けた。強固な支持基盤に加え、自民支持層からも一定の票を取り込み、当選圏に入った。

 一方、過去五回の参院選で二〇一三年以外は二候補を当選させてきた旧民主、民進系。党分裂後は、連合愛知の労組票を基盤とする母数が割れながらも、二人の候補を押し上げた。かつての「民主王国」の底力と言える。

 改選数三のころ、特に三議席目の争いは熾烈(しれつ)だった。公明、共産、旧みんなの党が議席を奪ったこともあるが、改選数一増の前回、今回とも波乱はなかった。投票率も低調で、論戦が活発だったとは言い難い。顔が見えないと言われる参院議員だが、任期は六年ある。腰を据えた与野党の論戦で政治に緊張感を生み出すしかない。

 (鎮西努)

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