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愛知

<主な候補の主張>(1)アベノミクスの評価

2019年7月9日

※上から届け出順

 年金不足や消費税の10%への引き上げ、止まらない少子高齢化など、山積する課題について論戦が繰り広げられている参院選。6年半に及ぶ安倍政権の政策を評価するのか。反対であれば、どんな対案を示すのか。愛知選挙区の主な候補者に担当記者がインタビューし、考えを聞いた。6回に分けて課題別に紹介する。

◆安江伸夫さん=公新

 アベノミクスで国内総生産(GDP)は伸び、税収は拡大し、雇用や所得も改善した。数字の上からも日本経済は回復していると評価できるが、中小企業の経営者から「現状は苦しい」との率直な声もいただく。十月の消費増税を背景に、景気後退を不安視する声も根強い。隅々まで景気回復を実感できる施策が必要だ。党として、最低賃金を二〇二〇年代前半に全国加重平均で千円超に引き上げることなどを求める成長戦略を政府に提言した。政権与党として着実な経済政策に取り組む。

◆岬麻紀さん=維新

 デフレ脱却で一定の成果は出しており、全否定はしないが、貧富の差は広がりつつあると感じている。愛知にはトヨタなど力のある企業があり、名古屋港の貿易黒字も七兆円を超える。農業や漁業なども含めた産業を柱に、生産物が広く流通する仕組みをつくれば、経済状況も良くなるのではないか。消費税率の引き上げによって、消費意欲が低下するのではと懸念している。2%の増税分がどのように使われるかが不透明で、不信感につながっている。今は増税をする時期ではなく、凍結が必要だ。

◆大塚耕平さん=国現

 株価や為替、国内総生産(GDP)を安倍さんはよく例に出すが、働く皆さんの実質賃金と家計の可処分所得が全く伸びていない。格差拡大を是正する動きが政策に反映されていない。働いている人の給料を増やすか、高すぎる税金や社会保障費を見直さないと、可処分所得は増えない。企業の内部留保を労働者に還元してもらうと、経済がうまく回る。戦後日本ではよその国で医療や教育に回っていたものが、公共事業などに回っていた。そこを変えることが教育費の負担の軽減につながっていく。

◆酒井庸行さん=自現

 昨年度の税収は六十兆円を超えた。バブル期を上回る額で、すごい効果が出ている。ただ少子高齢化で社会保障の経費を景気の改善だけで賄うことは難しい。消費税で皆さんの生活を豊かにする。一定の買い控えはあるかもしれないが、大規模な景気対策を打っている。足りなければさらに手を打つ。景気が悪くなった時に、緊縮に走るのはだめ。バブルの後がそうだった。逆に投資をして活性化しないと。自民党の幹部はバブル期の失敗を知っているので、何をすべきか経験で分かっている。

◆須山初美さん=共新

 アベノミクスで利益を上げたのは一握りの輸出型巨大企業で、生み出された富も内部留保として積み上がっただけ。給料が上がるどころか、実質賃金は減り続けている。十月に予定されている消費増税は日本経済にとって自殺行為と言え、中止するべきだ。賃上げと長時間労働の是正を進め、八時間働けば普通に暮らせる社会にしていくことは、家計消費を増やし、日本経済を立て直すことにつながる。鍵は中小企業対策だ。社会保険料の事業主負担分を、賃上げ実績に応じて減免する制度をつくる。

◆田島麻衣子さん=立新

 株価は上がり、売り上げを伸ばしている企業はあるが、利益が一般の生活者に還元されているという感じはしない。実質賃金も上がっていないし、皆さんの肌感覚としても良くなっていないと思う。今、必要なのは家計重視の政策を打つこと。最低賃金は海外と比べると少ないし、労働生産性も低い。ただ、賃金を上げるだけではなく、しっかりと利益を生んでいく構造にしないといけない。これまでと違い、誰もが生涯勉強し続けることでスキルアップし、労働生産性を高めることが必要だ。

◆平山良平さん=社新

 働く人にとっていいことは何もなかった。大企業と富裕層を優遇したとんでもない経済政策だ。企業にとっては良かったかもしれないが、給料が上がらないから、個人消費は伸びず、景気と暮らしは停滞している。消費税が導入されて三十年。これまでの税収は三百三十兆円くらい。この間、法人税は40%から23%に減税された。消費税は法人税の穴埋めに使われ、そっくり企業の内部留保になり、働く人には回ってこなかった。消費税を廃止して、法人税を元の税率に戻した方がよほどすっきりする。

◆末永友香梨さん=諸新

 成果はあるかもしれないが実感はない。消費税引き上げで、さらに景気が冷え込む恐れがある。軽減税率の導入で、コンビニなどで飲食品を購入して店内で食べれば10%、持ち帰ると8%になるなど、複雑で分かりにくく、現場を理解しているとは思えない。国民は増税に加えてNHK受信料の負担も強いられる。暮らしのことを考えるならば、国民負担全体を鑑みる必要がある。NHK放送スクランブル化を実現し、NHKを見ていないのに受信料を支払っている人の家計の負担軽減につなげたい。

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