• 中日新聞ウェブ
  • 中日新聞プラス

愛知

旧民進勢、連携緩やかに 「別の党」労組、両立支援に懸念

2019年7月6日

写真
写真

 二十一日投開票の参院選で、愛知選挙区(改選数四)は十二人が立つ乱戦だ。かつては「民主王国」と呼ばれた地域で、旧民主党や後の旧民進党が同選挙区で二議席を得るのは珍しくなかった。旧民進分裂でたもとを分かった立憲民主、国民民主両党は今回、それぞれ候補を擁立。いずれも労働組合の連合愛知の支援を受けるが、連携は限定的だ。自民、公明、共産、維新などを相手に厳しい戦いを繰り広げる。

 公示日の四日午後、名古屋・栄。立民新人田島麻衣子さん(42)の演説中、国民現職大塚耕平さん(59)の選挙カーが通り掛かると、互いに「ご健闘をお祈りします。頑張りましょう」とエールを送った。両陣営は今回、県内全域で一万二千カ所を超える掲示場のポスター張りで協力。地域によっては、一方の陣営が二人のポスターを張った。連合愛知幹部は「そろって議席確保が目標」と語るが、別の党だけに突っ込んだ連携は難しい。

 二〇〇四年以降五回の参院選で旧民主、旧民進は一三年を除く四回、愛知選挙区(当時の改選数は三または四)で二議席を確保した。

 選挙戦では、連合愛知傘下の各労組が候補二人の支援を分担した。選挙終盤の票読みで、どちらかの候補が厳しい情勢だと、もう一方に付いていた一部労組が支援に回り、二議席確保を図ってきた。

 労組関係者は「同じ党の二人だからできたこと。今回は難しいだろう」と明かす。各労組が比例で投じる先は、国民または立民に分かれる。例えば、選挙区も比例も国民を支援する労組に、終盤になって「選挙区は立民に」と求め、徹底させるのは困難との見立てだ。

 一方、自民、公明の与党勢は蜜月ぶりを強調する。

 四日、公明新人安江伸夫さん(32)の出陣式には、自民現職酒井庸行さん(67)の応援を終えた藤川政人自民党愛知県連会長が駆け付け「安倍総裁、二階幹事長からも『自公で二議席死守』と厳命を受けた。ともに頑張りましょう」と気勢を上げた。会場には自民党の衆院議員らも顔をそろえた。公示前の一日に名古屋市であった安江さんを激励する会には、菅義偉官房長官が訪れている。

 自民の多くの衆院議員にとって、衆院選での公明の支援は不可欠。公明側も自民と一体となった選挙戦を演出することで、連立政権に加わる意義を支援者に浸透させられる。

 共産党は、全国三十二の改選一人区で野党の候補一本化に協力したが、愛知では新人須山初美さん(40)を立てた。陣営は「安倍政権とそれを支える財界とも正面から立ち向かえるのは共産党だけ」と独自色を強調する。維新の新人岬麻紀さん(50)は、共同で擁立した減税日本の代表、河村たかし名古屋市長の全面支援を受ける。

 (中崎裕、立石智保、安藤孝憲)

主な政党の公約

新聞購読のご案内