維新の新人「河村カラー」 減税、愛知選挙区で共同擁立
2019年7月4日
合同で演説会を行った日本維新の会代表の松井一郎大阪市長(左)と減税日本代表の河村たかし名古屋市長=名古屋・名駅で |
四日公示、二十一日投開票の参院選の愛知選挙区(改選数四)で、河村たかし名古屋市長率いる減税日本は、日本維新の会と共同で新人女性(50)を擁立する。選管への届け出政党は「維新」。減税が維新の求めに応じた形だ。ただ、根強い河村市長人気を生かそうと、選挙ポスターは候補と市長の「ツーショット」。政党の看板は維新でも「河村色」は維持する。
陣営によると、候補の政見放送でも、冒頭に河村市長の映像を流す。市長の選挙スタイルとして知られる自転車遊説を、二人一緒に各地で繰り広げる。維新関係者も「届け出は維新だが、河村市長の顔で戦っていきたい」と話す。
六年前、三年前の参院選でも独自候補を擁立して敗れた減税。三年前も維新(当時はおおさか維新の会)と共同で擁立したが、届け出政党は減税だった。
今回も河村市長は当初、減税で届け出るつもりだったが、維新の下地幹郎衆院議員や愛知の維新関係者が説得した。本拠地の大阪以外に勢力を広げたい維新。愛知選挙区の候補の看板を維新にし、比例票発掘につなげる思惑もあった。
市長が折れた背景には、新人を発掘したのが維新側だったことのほか、減税が背負う「ハンディ」もある。名古屋市議会(定数六八)では十四議席の第三勢力だが、国会議員がいないため、公職選挙法では政党とみなされない。このため、選挙報道では「減税」と表記せずに「諸派」と記す報道機関が多い。選挙に合わせた党首討論にも招かれない。減税は、他の既成政党と同列に扱われないのが実情だ。
六月末に減税が名古屋市内で開いた政治資金パーティー。河村市長は「届け出が減税だと、(報道の表記が)『諸派』になって何が何だかわからない」と支持者に説明した。
過去二回の参院選で減税候補は、河村氏の地盤である名古屋市の外で票が伸び悩んだ。看板を維新にすれば、名古屋市外で伸びるかもしれないとの期待も陣営にはある。
「総理を狙う男」の看板を下ろさず、国政復帰の可能性を否定しない河村市長。届け出が維新であっても、自身が支援した候補が参院選で勝つ意味は小さくない。市長はパーティーで候補を紹介しながら「応援したってちょう」と呼び掛けた。
愛知選挙区には自民、公明、立憲民主、国民民主、共産、社民なども候補をたてる。
(中山梓)