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愛知

<問われるもの>(中)子育て支援、少子高齢化 椙山女学園大教授・堀田あけみさんに聞く

2019年7月3日

堀田あけみさん

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 少子高齢化を危惧するのであれば、どのように子どもを産んで育てる社会をつくるのかを候補者には語ってほしい。少し前に、公用車で子どもを保育所に送迎していた女性国会議員が週刊誌やネットでたたかれることがあったけれど、おかしいと思った。議員にも生活はある。公用車で送迎しなければ、子育てしながらの議員活動が成り立たなかったのかもしれない。

 世間で論争になったが、あの時、女性の立場や子育てをしている立場で同僚や他党の議員が発言するのを少なくとも私は聞かなかった。普段は声高に「子育てを大切に」「生活に寄り添う」と叫ぶ男性議員も黙って見ていただけ。彼らが考える子育てや生活が、果たして私たちと同じかどうか、疑問に思うことは多い。

 本当の意味で有権者の足元の生活を知り、語ることができる候補者を見極めたい。この春、末娘が高校に進学し、母親としても義務教育とのお付き合いが終わった。自宅のある名古屋市郊外はいわゆるマンモス学区。小学校では児童が増えすぎて「運動会もままならない」とぼやく先生がいた。一方で、県内でも人口減少が始まっている自治体がある。少子高齢化と一口に言われるけど、過疎と過密の問題がある。政治家は地元の現状を正しく知り、「自己責任で頑張ってね」以外の対処法を考えられる人であるべきだ。

 暮らしや教育、福祉に関する政策では、はっきり言って政党間に大きな差を見いだせない。以前は複数の政党がきちんと存在価値を持っていたが、今は主張が似ていて選ぶことが非常に難しい。だからこそ、候補者それぞれの人間性、日常の言葉に表れる本音の部分こそを比べたいと思う。

(聞き手・安藤孝憲)

 ほった・あけみ 1964年、あま市出身。中村高校在学中に「1980 アイコ十六歳」で作家デビュー。現在は椙山女学園大国際コミュニケーション学部教授として創作と心理学を担当する。著書に、自閉症と診断された次男の育児体験をつづった「発達障害だって大丈夫」など。

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