【検証とやま県議選】(下)擁立苦戦「守り」の戦い
2015年4月15日
2月の常任幹事会で新たな候補者擁立の断念を表明した高田一郎・民主党県連代表(左)=富山市内で |
民・社の存在感なく
戦う前から勝負が決まっていた−。そんな印象が強い今回の県議選。民主、社民は候補者擁立に苦戦し、現有議席維持に終わる「守り」の戦いとなった。自民一強に対抗する選択肢を有権者に示せなかった責任が、重くのしかかる。
「空白区で擁立を真剣に考えた。ただ、政権を担っていた時代の不信をぬぐえなかった」。民主党県連代表の高田一郎は十四日、取材に県議選で新たな候補者擁立ができなかったことを悔やんだ。
民主は県議選前、射水、滑川両市の空白区での擁立に向けて、複数人に接触し立候補を求めた。だが、首を縦に振る人は現れず、二月末に擁立を断念。高田は「政権時には候補者自ら手を挙げてきていたが、今では期待できない。候補者を育てようにも、政治に関心を持つ人が少なすぎる」と嘆く。
社民も事情は同じだ。「五人以上の擁立を」と臨んだものの、結局は引退した議員の後任に新人一人を擁立しただけに終わり、現有三議席の維持を目指す守りの選挙を強いられた。有権者に選択肢を示せず、党県連幹事長の柴義治は「非常に責任を感じている」と肩を落とす。
昨年の衆院選で全国的に躍進を果たした共産は存在感を見せた。県議四人以上の政党に与えられる代表質問権を取ろうと現職一人を含む四人が立候補。県委員会委員長の上田俊彦は「候補者擁立は党としての役目。常に準備している」と言い切る。
結果は、現有の一議席にとどまった。だが、投票率が下がった中、前回選に続いて候補者を立てた富山市第一、高岡市、射水市の三選挙区での得票数は計約二千票も増加。上田は「国政に批判的な保守層も投票してくれたと思う。舟橋村議選や来夏の参院選につながる結果だ」と手応えを口にした。
一方の民主。二〇一三年参院選と一四年衆院選の直近二回の国政選挙でも候補者の擁立に失敗しており、来夏の参院選にも不安を残す。
高田は、政治スクールの開催や候補者の公募で、来夏の参院選での候補者擁立を目指す方針を明かし、力を込める。「政権を奪った時のように何かの風を起こさないと。何としても擁立したい」。もう不戦敗は許されない。
(敬称略)