【検証とやま県議選】(上)過去最低の投票率
2015年4月14日
有権者の関心が高まらず、県議選の県全体での投票率は46.81%と過去最低を記録した=富山市内で |
子育て世代に声届かず
「投票率が少しでも上がっていれば、もう一議席取れたかもしれない」。投開票翌日の十三日、候補者四人を立てながら一人の当選にとどまった共産の幹部が嘆いた。県全体の投票率が初めて50%を下回り、過去最低の46・81%を記録した今回の県議選。投票率の低下は、地方での組織力に勝る自民の盤石さを際立たせた。
「二十代、三十代の人に投票に行ってほしかったが、浸透しきれなかった」。そう語るのは、子育て世代が多い新興住宅地を抱える富山市婦中町が地盤の自民現職、藤井裕久。二期目の議席を獲得したものの、訴えが届いているという手応えが薄かった選挙戦を振り返った。藤井が立った富山市第二は、投票率が前回から17・91ポイント減の45・91%と、県内で最大の下げ幅となった。
選挙戦で藤井は、少子化対策として婚活や子育ての支援策を訴えた。商工会青年部などの若い支援者に活動を支えられたが、「共働きで昼は家にいない人が多く、電話がつながらない。やりにくかった」と漏らす。選挙カーで回ると、「音がうるさい」と事務所に苦情が入ることもあった。
新興住宅地は、山間部と比べて生活環境は恵まれている。「便利な土地柄だけに、不満が少ない若い人にどう関心を持ってもらうか」と課題を語る。
地域との関わりが薄い人々にどう声を届ければよいのか。県議選としては今回初めて導入されたインターネット選挙は、一つの答えにも映る。
だが、同じ富山市第二で当選した自民現職の宮本光明は、「不特定多数の人がネットを見て判断してくれれば良いが、本当に限られた人しか見ていない」と話す。ブログやフェイスブックで個人演説会などの活動の様子を紹介したが、見てもらえなければ意味がない。宮本は「あくまで日常の後援会活動が中心で、ネットはそれに付随したもの」と考える。
各種選挙で投票率が下がり続ける中、藤井は「地方議員の責任でもある」と自戒を込める。「普段から地域にいる県議や市議が、若いお父さん世代に政策を訴え、要望を吸い上げる活動をしなければいけない」
有権者からは「県議が何をやっているのか分からない」との声も上がる。今回は五選挙区で無投票となったが、有権者に直接訴えかける機会が無くなれば、「無関心」はますます強くなる。 (敬称略)
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十二日に投開票された県議選は、自民が七割を超える議席を維持し、「一強」を強く印象づけた。選挙を通じて浮かび上がった課題を検証する。
(この企画は、豊田直也、広田和也が担当します)