滋賀

原発政策、主導権の行方は県議会改選で

2015年4月19日

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 改選後の県議会の多数派形成の動きに注目が集まっている。定数四四になっても最大会派は変わらず自民だが半数を下回る。案件によって他会派の協力を得て採決を主導する可能性が高いが、原子力関連政策をめぐっては主導権を握れるか不透明。公明が慎重な姿勢を見せている上に、自民会派内にも反原発派がいるためだ。

 改選前までの自民系は自民県議団二十一人、自民颯新(さっしん)の会五人の計二十六人。定数四七の過半数を占めていた。

 改選前に「数の力」を見せつけたのが今年の二月定例会議だ。原発三十キロ圏の自治体同意なしに高浜原発を再稼働しないよう意見書提出を求める請願は、自民の中で反原発を主張する大野和三郎議員の賛成もあって総務・企業委員会で採択。だが本会議では委員会採決がひっくり返り、不採択となった。

 こうした状態は今回の改選で一変。議会事務局に提出された会派届けによると、颯新の会はなくなり、自民県議団二十一人では半数に届かず。このほかチームしが十五人、共産三人、公明二人、無所属三人という構図になった。

 自民二十一人から採決に加わらない議長を出すと、原子力関連では大野議員の反対もあって、やや原発に肯定的な無所属男性議員を加えても二十人前後にとどまる可能性が濃厚だ。

 一方、原発に反対、慎重な立場に目を向けると、チームしが、共産に加え、公明と無所属女性議員も、これまでの姿勢から慎重を貫く可能性が高い。さらに今回初当選した無所属男性は本紙の取材に「卒原発では甘い」と、より強い「脱原発」の姿勢を示している。

 昨夏に三日月大造知事が誕生して以降、自民にも配慮することで目立った対立がなかった県議会だが、原発は陰に隠れた対立軸。三日月知事は「卒原発」を掲げて当選し、自民は政権与党として推進を掲げ、乗り越え難い溝がある。

 十九日でちょうど九カ月を迎えた三日月県政。これまで衝突をうまく避けながら巧みに県政運営してきたが、原発問題でも知事ペースで主導できる可能性も見えてきた。議会事務局のある職員は「知事にとって、どんどん良い方向に進んでいる」。こうつぶやいた。

 (井上靖史)