県議選記者が振り返る(下)争点なく関心呼べず
2015年4月15日
政党幹部(左)が訪れても足を止める人は少なかった=県内で |
−投票率46・54%は過去最低。
D 選挙カーの声もあまり聞こえず、とにかく活気がなかった。有権者にとっては、何の選挙をやっているのか分からなかったのではないか。
B 有権者に分かりやすい争点がなかったことが、関心が低かった原因だと思う。
A 争点がないから結局は「地元の代表」選びになりがち。合区で選挙区が広がったところでは特に顕著だった。
E 後半戦の自分の選挙で頭がいっぱいで、市議のまとまりが悪かったのも一因。「他人の選挙で頑張らない者が、自分の選挙で応援してもらえるわけがない」と憤る陣営幹部もいたほど。
F 「○○さんが当選することが、後半戦で私が当選するのにも必要不可欠」とお願いする弁士も目についた。
E 自民も民主も、しっかりした地盤を築けていない。来年の参院選に向けた対応が必要になるだろう。
−関心を高めるには。
D 県議会事務局に取材していると議員の顔色をうかがい、議員に都合が悪いことには対応が消極的になる場面もあった。開かれた議会を目指すことは、関心を高めることにつながるはず。
A 県議会の働きが十分に伝わっていない。改選前の四年間で、議員提案で成立した政策的な条例は三件だけ。もっと政策で引っ張ってくれるようになれば活躍も分かりやすいし、有権者が選びたいと思うのではないか。
G 解禁となったネット選挙を活用することも候補者側には考えてほしい。若者の関心を呼ぶのには良いのでは。手探りの部分も多いようだが、解禁で何が変わったか、何が可能かを知らない人がまだまだ多いのではないか。
H ふだんから県政や県議会の動きをどう報じるか、という責任が私たちの側にもある。
−無投票の選挙区が五つ。
H 甲賀市や湖南市では、告示直前まで出馬を模索する動きやうわさ話はあった。ある新人候補者が「動きがあると伝わるだけで、有権者の関心が高まる」と歓迎していたのが印象的だった。無投票で胸をなで下ろす候補者もいるだろうが、「選挙戦で選ばれて仕事がしたい」「どれぐらい評価されているか知りたかった」という人がいるのも事実。
C 栗東市の無投票当選者は「選挙以外でも有権者に話を聞いてもらうことが大切」と話していた。多くの機会を設けてほしい。
−今後の議会展望は。
A どの会派も過半数に満たない。今は目立った衝突がないが、原発への対応など個別の課題についての各会派の多数派工作や、共産が三日月県政にどうアプローチするのかも見どころだ。
B 「知事与党」を主張するものの議席を減らしたチームしが。三日月知事は投開票前の会見で「大勢いるのは心強い」としつつも、「どの会派が多数だからどうだ、ということはあまり考えていない」と冷静だった。知事が自民会派とも良好な関係を保つ中では「知事与党」以外の存在意義を示すことも必要だ。