滋賀

県議選記者が振り返る(上)どの党勝利か分からず

2015年4月14日

激しい選挙戦。畳に額をすりつけて支持を訴える候補者の姿もあった=県内で

写真

 十二日に投開票された県議選。県内で取材に駆け回った記者たちが、四十四議席をめぐる各陣営の戦いぶりや裏話を二回にわたって振り返る。

 −選挙結果をどう見る。

 A 改選前より自民は五議席減の二十一人。立候補者十八人全員の当選を目指すとしたチームしが県議団も、三人が落選した。第一、第二会派どちらも退潮という珍しい選挙だったと思う。

 B 自民は共倒れが目立った。過半数割れは戦略ミスではないのか。チームしがも全員当選を掲げたが、堅実とも消極的ともとれる擁立数はもともと過半数に届いておらず、実質負けだと思う。

 C 草津市の自民候補の個人演説会では応援弁士が「共倒れをする恐れがある」と引き締めにかかったものの、結果的に自民系の二人が落選した。

 A 自民は戦略ミスと見ることもできるが、一昨年の副議長選や昨春の議長選をめぐり、党の方針に従わず離脱した会派「颯新の会」の候補者の票を割る作戦にも見えた。

 D 議席を増やした共産も三議席。結局、誰が勝ったか分からない。オール与党態勢にしつつある三日月大造知事の一人勝ちとも考えられるが。

 B 共産は反戦など国政選挙から一貫して自民との違いを主張し、対立軸が分かりやすかったのが躍進の理由の一つだろう。

 −定数が減った選挙区での選挙戦はどうだった。

 E 彦根市・犬上郡では政策論争は影をひそめ、各候補は「厳しい選挙」を強調した。投票に行くよう促したり、知人への電話を呼び掛けたり。「合区になったことも知らない住民が多い」と気をもむ陣営もあった。

 F 住民からは「地元県議がいなくなるのは寂しい」との声も多く聞かれた。地元意識が強い住民の姿が見えたし、地元を大事にする候補に期待が集まったように思う。

 E 一方で、有権者が「地元、地元」の論調に嫌気が差したのも低投票率につながったのでは。地元固めをする陣営もいれば、積極的に外に出る陣営もあり戦略はさまざまだった。

 B 米原市では定数一になったこともあり、JR米原駅の活用など市全体を見渡した訴えが中心だった。

 D 東近江市・日野町・愛荘町も激戦だった。

 A 各党の情勢調査と結果が異なり、最後まで行方が読めなかった。結果的には自民が強さを見せ、現職二人が滑り込んだ。

 −他選挙区でも各候補のつばぜり合いはし烈だった。

 A 自民候補が複数いた選挙区では、序盤こそ他候補の地盤を避ける配慮をしていたが、情勢が芳しくないとみるや、切り崩しにかかる光景も。候補者は「同じ自民候補でも、結局は勝った人が自民と言われる。自民は勝てる人間しか評価しない」と話していたのが印象的だった。

 B 民主候補同士でも「うちの地元に入ってくるな」などと、争いがあったようだ。

 A 日ごろは堂々としている現職県議でも、地元の個人演説会では正座し、額を畳にすりつけて支援をお願いする必死な姿を目の当たりにした。

 B 選挙慣れしていることも含め、結果的には現職の地力が新人に勝った。現職の落選は五人だけ。引退する議員の地盤を引き継がない新人の当選も五人だけだった。