滋賀

<定数減を追う>(2)「どぶ板」で票固め奔走

2015年4月5日

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◇彦根市・犬上郡(四…6)

西村 久子71 県監査委員   自現<2>

大野和三郎59 (元)豊郷町長 無現<1>=自

江畑弥八郎60 党県役員    民現<2>=社し

中沢 啓子56 団体相談役   民現<4>=し

細江 正人68 書籍販売業   自現<1>

中川 睦子57 党県委員    共新

 「今回は当選が危ないんです」−。ある候補の出陣式。マイクを握るなり、支援者らを前に必死の形相で力を込めた。

 一票の格差是正に伴い選挙区が統合され、定数一減となった彦根市・犬上郡選挙区。四議席をめぐり自民(推薦含む)三、民主二、共産一の六人が激しい選挙戦を繰り広げる。選挙人名簿登録者数(二日現在)は約十万七千人。現職五人のうち少なくとも一人は落選する状況の中、各陣営は地盤の票固めと支持拡大に奔走する。

 彦根を地盤とする候補は前回選と同じ五人。そこに犬上郡選出で自民推薦の大野さんが加わり、彦根の自民現職二人は自分の票が掘り起こされることに危機感を募らせる。

激戦を勝ち抜くため支持拡大に奔走する候補者(右)=彦根市内で

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 「民主と共産には票が上積みされるだろうが、自分に自民の票はほとんど入ってこないだろう」と細江さん。「正直つらい」と続ける。票を取りこぼさないために確実に投票に行くよう訴えるとともに、青年会議所時代の仲間や高校同窓会などの人脈をたどり、犬上票の獲得を図る。

 市南部の稲枝地区を地盤とする西村さんも「厳しいよ」と、合区に対する複雑な心境を吐露。それでも「議席を死守する」(選対幹部)と意気込む陣営が、候補者を手厚く支援する。選挙戦では地元を中心に街宣や個人演説会を開いて定住促進や子育て支援の重視などを訴える。農業関係者らの人脈で犬上にも切り込む。

 一方の大野さんにとっても「極めて厳しい選挙」。選対幹部は「彦根では初出馬と同じ。票取り込みは簡単ではない」と話す。一年前には彦根の後援会を発足。中小零細企業を中心に支援を呼び掛けるなど、選挙を見据えて活動してきた。大野さんは「支えてくれる皆さんのためにも当選して責任を果たしたい」と気を引き締める。

 対する民主現職の二人。ベテランの中沢さんは「新しい選挙になるので危機感を持って臨みたい」と話す一方、「(犬上は)これまで全く活動してこなかった地域ではない。大勢の声を聞いて地域が一体となれるよう頑張りたい」と意気込む。「地盤も組織もない」(選対幹部)というが、日ごろから地域の催しなどに足を運んで培った幅広い世代の人脈を基盤に、さらなる訴えの浸透を図る。

 三期目を目指す江畑さんは「彦根とは歴史的な共通点もある。合区をしっかり受け止めて戦う」と話す。「今回は犬上の人たちとの関係を深めて次回選につなげたい」ともいい、支援を受ける労働組合の人脈や三町会議員の力添えで犬上での知名度も高める。有権者と膝を突き合わせたミニ集会などで支持拡大をねらう。

 前回選以降、二度の衆院選にも出馬した共産の中川さん。四年間の選挙経験で「たくさんの人と知り合えた」と話し、「選挙戦ではプラスに働くと思う」と合区を歓迎する。選対幹部も「全国的に党に対する期待の声が大きい時期の選挙。大きなチャンスと捉えている」。選挙期間中は彦根を中心に回り、原発再稼働反対や中学卒業までの医療費無料化などを訴える。

 (曽田晋太郎、河辺嘉奈子、山中正義)