滋賀

<定数減を追う>(1)伊吹・山東の攻略が鍵に

2015年4月4日

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 合区によって選挙区が十六から十三に、定数が四七から四四に減る今回の県議選。これまで以上の激戦が予想される関係選挙区で、各候補者はどんな戦略で、何を訴えるのか。選挙戦となる三選挙区の動きを追った。

◇米原市(一…2)

赤堀義次 77 県議長      無現<4>

角田航也 42 (元)議員秘書  し新=民社

 県北東部、岐阜県境の伊吹山を望む米原市選挙区。人口減少が進み、四月一日現在の人口は初めて四万人を割った。県議選では定数二から一に減った議席を、現職議長で無所属の赤堀義次さん(77)とチームしが新人の角田航也さん(42)が争う。

 「今までの経験を生かし、北陸新幹線を米原に引っ張る」。米原市下多良の事務所前で声を上げた赤堀さん。そろいの青いジャンパーとストールを身に着けた支援者ら百五十人を前に四期の経験と実績を強調した。

 角田さんは米原市飯の選挙事務所前で、赤いジャンパーと鉢巻き姿で気合たっぷりの支援者ら八十人を前に演説。「若い感性と行動力で県政に新しい風を吹き込む」。若さを前面に世代交代を訴えた。

 米原市選挙区は前回、前々回選挙は定数二。「人口割りで言えば本来の定数は一つ」(県議会事務局)だったが、“南北格差”を是正するため、大津市選挙区から定数を一つ譲り受ける形をとってきた。

 そして今回、全体の定数減に合わせ定数一に。野洲市を一・〇とした時の一票の格差は一・六〇四倍で県内最大となるが米原市−守山市間で一・九一一倍あった前回選挙に比べると是正された。

 両候補とも訴えの中心は、JR米原駅周辺の活性化に向けて整備することと、北陸新幹線を米原駅に呼び込むこと。異なるのはそれぞれ世代を意識した訴えだ。赤堀さんが「超高齢化社会が来る十年後を見越した施設の充実が必要」と訴えれば、角田さんは「米原の良さを活かし、若者が定住し、にぎわいのある街にする」と展望する。

 勝負の鍵を握るのは、不出馬の自民現職辻村克さんの地盤で、両候補の浸透が薄い伊吹地区や山東地区。同地区が地盤の保守系市議の大半は態度を明らかにしておらず、両陣営は個人演説会を開いたり行事に顔を出したりして、地道に掘り起こしを進める。

 赤堀さんは告示前「議長公務で忙しく、準備はほとんど後援会などに任せきりだった」のが懸念材料だが「十分勝つ自信はある」と強気。保守系市議の一部や長年の活動で培った地元後援会などが支援しており、選対幹部は「接戦になると思うがなんとか勝ち抜きたい」と気を引き締める。

 角田さんは民主系市議らがサポート。「相手は大ベテランの現役議長。私はまったく知名度のない新人」とした上で「米原の現状を打ち破るためになんとか勝たなければならない」と力を込める。選対幹部は知名度向上に向け「若さと行動力で訴え続けるしかない」と前を向く。

 (井本拓志、木造康博)

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