滋賀

<委ねる統一選>(チームしが・民主)存在感を示せるか

2015年4月1日

嘉田代表(中央)とともに気勢を上げるチームしが推薦候補予定者(当時)ら=大津市内で

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 「知事は(三日月大造氏の就任で)つながった。次は県議会。応援、支援をお願いします」。二月十一日、大津市内であった政治団体「チームしが」の総会で、立候補予定者とともに壇上に立った前知事の嘉田由紀子代表が呼び掛けた。

 チームしがは昨年七月の知事選で、嘉田前知事の政策を継承するための研究集団として結成。三日月知事誕生の母体となった。十月には県議会でも「民主党・県民ネットワーク」と嘉田前知事に近い「対話の会・しがねっと」が非自民会派「チームしが県議団」として合流。二月の総会では、現職の所属議員や新人計十八人の推薦も発表した。

 三月中旬のローカルマニフェスト発表会見で県議団の清水鉄次代表は、三日月知事の政策を推進するため「第一会派を目指す」と宣言。候補予定者数は定数の過半に届かず「他力本願という部分もあるかもしれない」とも言うが、安定した雇用や原発からのエネルギー転換を訴え、自民との違いを見せる考えを示した。同席した民主県連の大井豊副代表も「基本的な(政策の)ベースは同じ」と続けた。

 チームしがにとって課題の一つは認知度を高めることだ。総会後の二月下旬、チームしがは対話の会系の現職二人と、新人計三人の立候補予定者を推薦から公認に格上げ。告示後に選挙運動ができる確認団体となった。嘉田代表は政策ビラを配ったり、街宣車を回したりするとし「私もできる限りのサポートをする」と強調した。

 だがその結果、県議選に出馬する予定の県議団所属議員は(1)民主党公認でチームしが推薦(2)チームしが公認、一部民主推薦(3)無所属でチームしが推薦と一部民主推薦の、大きく三種類に分かれることに。嘉田代表は「他党にも公認、推薦の候補がいる。それぞれの選挙区で最も支持を得られる方法を考えた」と説明するが、一体感の醸成にはほど遠い。

 裏には民主と対話の思惑の違いが見え隠れする。民主はチームしがの動きが決まる前から早々に公認候補者を発表。同一候補が二つ以上の政党から公認を受けることはできないため、対話系議員のみの公認も探った。

 しかし、「全員当選を目指す上で、同じ選挙区で民主公認とチームしが公認候補が戦うのは分が悪い」(民主系議員)との見方もあり、結果的には候補が重複しない選挙区のみで公認。公認されなかった対話系議員からは「有権者から見れば結局どこに属しているのか分からず、損しただけ」。民主系議員からも「全員を推薦するだけのふわっとした形を取りたかった」と不満が漏れる。

 三日月知事の融和姿勢もあり、県議会でも「大きなねじれはない」(清水代表)とされる中、有権者に政策の違いと存在感を示せるかが伸長の鍵となりそうだ。

(井本拓志)