滋賀

<委ねる統一選>(自民)敵見えず戸惑いも

2015年3月31日

総決起大会で気勢を上げる立候補予定者=2月22日、大津市内で

写真

 「当選目指して頑張ろう!」。県議選と大津市議選に向け党の公認、推薦を得ることになった四十人以上の立候補予定者が一斉にこぶしを突き上げた。

 大津市内で二月にあった自民党の統一地方選必勝総決起大会。ゲストの石破茂地方創生担当相は「国政選挙で何回勝っても統一選で勝たなければ政権を奪還したことにはならない」と激励した。

 今回の県議選(定数四四)に自民は、推薦含め二十八人を擁立する。県連幹事長の佐野高典自民県議団代表は、経済再生、地方創生、女性活躍を重点施策に掲げたほか「河川・砂防工事、琵琶湖再生を推進することも与党として訴えたい」。ただし目標はあくまでも「過半数獲得」。

 昨年末の衆院選は小選挙区四議席全てを死守したものの、昨夏の知事選敗北という拭い切れないショックがあるためだ。当時は選挙期間中に閣議決定された集団的自衛権の行使容認が影響したともされ、中央とのつながり、近さをアピールした戦略の失敗とも指摘された。

 また、県議会内部の“内紛”も喉に刺さった骨。自民党籍県議二十六人のうち五人は別会派「自民颯新(さっしん)」をつくっており、選挙区によっては自民同士の足の引っ張り合いになる可能性もある。佐野代表は「できれば一つの会派に」とは言うものの、感情的な対立もあり、しこりは小さくない。

 とはいえ、三日月大造氏を知事に押し上げた第二会派チームしがは、公認と推薦を合わせても候補予定者は過半数に満たない。

 さらに、現在の県議会自民は、嘉田由紀子前知事と対決姿勢をあらわにしていたころとは異なり、「(三日月知事は)意をくんでくれるのでありがたい」(自民系県議)と言うほど“知事与党”に近い。

 融和を重視する三日月知事の姿勢によるところも大きいが、県連が作成した県版公約集には「若者や高齢者の力をもっと生かす」「再生可能エネルギー普及日本一を目指す」といった三日月知事の理念に近い訴えも並ぶ。

 そのため、「これといった争点がない」(佐野代表)というのも事実。余裕の表れなのか「チームしがに勢いを感じない。関心が高まらないのが心配」とまで言い、楽観視も可能なため、緩みを警戒する。

 手綱を締めようとは思うが、ライバルの迫力も感じない。四年前に「議員定数の二割減」を公約に掲げながら、実現しなかったことも大きな争点とはなりにくい。見えない敵と戦うような選挙戦。関係者の表情には戸惑いも入り交じる。

(井上靖史)

    ◇

 統一地方選の前半戦となる四月三日告示、十二日投開票の県議選が迫ってきた。主要党派の意気込みや戦略を探った。