滋賀

<議員のいす>(5)一般質問

2015年3月28日

 議場で県市町の首長や担当幹部と対峙(たいじ)し、舌鋒(ぜっぽう)鋭く施策をただす−。議員の力量が問われる舞台の一つが、本会議の一般質問だ。自らの政策観を有権者にアピールする場でもあり、存在感を示す機会ともなる。

 本紙が調べたところ、議長や副議長、監査委員など慣例で質問しない議員を除き、二〇一四年に一般質問をしなかった議員は県市町議会で計二十四人。

 複数の議員に尋ねると、「今年は特に質問することがなかった」とする町議のほか、「おまえらには言いたくない仕事が忙しくて、時間が取れない」と主張し「地元から要望もない」と開き直る湖北の市議も。中には「疑問があれば直接ただす。一般質問の場でごだごだ言うもんじゃない」と語気を強める町議もいた。

 一方、地域と自治体をつなぐことが期待される議員には各種の住民要望が寄せられる。

 ある彦根市議の元には多いときで月に二、三件の要望がある。依頼を受けたら市の担当部署へつなぐ。その後、進捗(しんちょく)状況を問い合わせるのも欠かさない。湖北の県議の一人も「議会閉会中もほぼ毎日、要望を伝えに県庁や団体回りをしている」。

 こうした対応も議員に求められる重要な仕事。また本会議だけでなく細かな精査をする委員会審議も大切であり、「一般質問だけが仕事じゃない」(複数の議員)と訴えるのも一理ある。

 ただ、「勉強もせずに、同じ質問を何度もする議員もいる」(ある自治体職員)。執行部側と原稿を読み合うだけで、それ以上の追及がない議員もおり、本会議でのやり取りが形骸化しているとの指摘もある。

 ある湖東の県議は「地元からの要望を、有権者の目に見える形で伝える貴重な場」と一般質問の意義を強調する。「質問せず議場で寝ている人は、権利を譲ってほしいくらい」とため息をつき、「見えないところでも仕事をするのは当たり前。選ばれた以上、自分たちの仕事を公の場で示す責任がある」と言う。

 首長と議会は行政を前に進めるための両輪であり、一方の機能が衰えれば住民サービスに影響を与えかねない。地方議員は数が多いだけになかなか顔が見えづらいが、一般質問に対する姿勢だけでも議員の資質の一端が見えてくる。

 (おわり)

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