滋賀

<議員のいす>(4)県外視察

2015年3月27日

視察する県議=2013年11月、鹿児島県内で(県議会事務局提供)

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 県内の地方議会が二〇一三年度に実施した県外調査の行き先は、北海道や秋田、鹿児島など遠方が目立つ。一つの町議会を除く各議会が毎年予算を確保して県外各地に赴いているのが実態だ。

 県議会は五つの常任委員会がそれぞれ二泊、四つの特別委員会と議会運営委員会が各一泊で出掛けるのが慣例。毎年八百万円の予算を拠出しており、県議会事務局職員は「議員が県外の状況を見るのは大切」などと説明する。一例を挙げると、厚生・産業委員会は一三年度に鹿児島県を訪れ、小水力発電所を視察した。再生可能エネルギー関連施策について理解を深めるのが目的だったという。

 ただ、県内市町に目を向けると、財政事情に配慮するなど中には抑制傾向も見受けられる。栗東市議会は三つの常任委員会のうち県外視察をするのは二つ。さらに踏み込み、日野町議会は一〇年度から定期的な県外調査をとりやめている。

 同町議会は「学びの要素が強くなる」(事務局)として、大津市の全国市町村国際文化研修所(JIAM)で開かれる議員向けセミナーを活用する。それでも県外視察を全否定しているわけではなく、必要に応じた県外視察に備え年五十八万円の予算は確保している。

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 これらとは別に県議による政務活動費を使った県外調査に目を向けると、一三年度に海外に出掛けたのは三人。十七〜三十万円ほどの出費に添付された領収書には旅行会社が代金総額を記入しただけだったり、視察理由が簡単に示されているだけだったり。

 県議会会派の政活費による県外調査の中には、雲仙・普賢岳や諫早湾干拓地(いずれも長崎県)などの行き先も見られる。

 県外調査には「ただの旅行ではないか」といった厳しい目も向けられてきた。他県ながら「宴会でコンパニオン」などの話題が報道されたこともある。甲賀市議会は全員協議会での報告を義務付け、報告書の作成とHPでの公開を検討しているが、県議会をはじめとして疑念をはね返す成果や説明が望まれていることは言うまでもない。