滋賀

<議員のいす>(2)政務活動費(下)

2015年3月25日

県庁で閲覧できる政務活動費収支報告書

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 千八十円から六千百円までコンビニ店の領収書が二十枚、県議会の政務活動費収支報告書に貼付されていた。多くは宛名も品目もないが、これらも政活費。「郡市別に開いた住民との意見交換会のお茶代と聞いている」。県議会事務局はいう。

 県議会の「政務活動費のしおり」が定める政活費の範囲は広い。支出の何割を政活費とするかは「実態に応じて」議員が決める。

 本会議や委員会、会派会議など交通費の費用弁償が別にあっても「調査費」のガソリンや電車定期券代は出る。ある議員は地元から大津への百キロほどを年百二往復したとして、四十万円近くのガソリン代を計上。「地元要望を伝えに県庁や各団体を回るため、議会以外でも頻繁に通っている」と説明する。

 地元駅から大津駅までの定期券代として約十八万円の三割を政活費から支出しながら、議会関連の会合などの交通費として県と会派から定期券代以上の費用弁償を受け取った議員もいる。県は「額は公開できない」(議会事務局)、会派分は「内訳が把握できない」(同)とするため、不透明さは拭えない。

 政活費では、人気IT機器も買うことができる。スマートフォン「iPhone5s」を発売間もないころに購入し、約八万円の半分を計上した議員。「一番高い物が良い物と思って買う主義」と購入したものの「家電は詳しくない」。ほぼ通話のみの利用で、アプリなどの諸機能は使っていないという。

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 タブレット型端末の通信料に六〜十万円を計上する議員も複数いた。うち一人は「ペーパーレスの世の中の主流。配備してほしいくらい」と強気だ。

 「猫のトッピングごはん」「うちの猫のキモチがわかる本」。一見、政務活動と関係が薄そうな書籍を計上した議員。「地元から地域猫対策で紹介され購入した。政治はジャンルが広く、疑われるのは不本意」とする。

 それ以外にも十万円以上の書籍を購入しながら、数冊分のタイトルしか書いていない例もある。「しおり」のルールは逸脱していないが、しおりが求める「透明性」が確保できているわけではない。

 二月定例会議の最終日、全会派を代表し議長がコメントした。「県民のための議会活動に資する、より積極的な政務活動費の在り方、県民に対する説明責任の在り方について来期の県議会で検討を開始する」。票の積み重ねで選ばれた議員の自覚が求められることはいうまでもない。