滋賀

<議員のいす>(1)政務活動費(上)

2015年3月24日

県内視察する県議ら。交通費も政務活動費に計上されている=2013年8月、近江八幡市の沖島で

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 スマートフォン、会派の控室用パソコン、百冊を優に超える書籍−。いずれも二〇一三年度中に県議が政務活動費で購入したものだ。県庁の議員図書室にある収支報告書を見ると、さまざまな使途に充てられていることが分かる。

 政務活動費は議員報酬とは別枠で地方議員に支給される“第二の財布”。調査研究や視察旅費、議員活動の広報費、事務所費、人件費など幅広い使途が認められている。一二年の地方自治法改正で、従来の政務調査費より使い道が広がったが、選挙活動や政党活動、私的な冠婚葬祭の出席などには使えない。

 現在、県議会では物品購入などの際に政務活動費とする際には、一円単位で領収書の提出と収支報告書の作成が求められる。それでも交通費など領収書不要のものもあり、領収書はあっても品目の記載がないものも見受けられる。パソコンや携帯電話など、私物と兼用にする場合の自己負担割合の基準もない。

 使用限度は一人月額二十万円、さらに会派所属議員には一人十万円が加わる。使わなかった分は返さねばならないが、ほぼ限度額まで使い切るのがこれまでの通例だ。

 一方、市議は県議に比べれば額が少ない。各市とも条例で決めているが、使用率と併せ、ばらつきがある。栗東は厳しい財政事情もあって〇八年度から五千円減額して月一万五千円。湖南市は議員定数を二減したのを機に倍額の年間二十万円にした。町議はゼロ。ある町の場合「そもそも、調査活動などしている議員がいない」などとささやく職員も。

 政務活動費の多寡が地方議会や行政にどう影響しているか、分かりにくいのは確か。兵庫県議(辞職)の“号泣会見”でにわかに注目が集まった政活費だが、今回の統一地方選ではいつになく市民の厳しい目が寄せられている。

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 日ごろお付き合いする機会が必ずしも多くはない地方議員。どんな活動をし、どんな収入を得ているのか。四年に一度の統一地方選が実施されるのを前に、地方議員の「実態」を探った。

 (統一選取材班)