ネット効果 地域で温度差解禁後初、候補者に聞く
2015年4月24日
高齢化の能登「支持者PC疎く」
石川県内も統一地方選後半の五市議選と四町議選が繰り広げられている。インターネットを使った選挙運動が解禁されて初めての統一選。金沢市議選などの候補はネット上でもアピールに懸命だ。だが、能登地方などはネットを使わない有権者が多いことに配慮してか、効果を測りかね活用しない候補も多い。まだまだ地域間で温度差が大きいのが実態のようだ。(統一地方選取材班)
「いよいよ佳境。残りの期間も全力で頑張ります」。金沢市議選の現職は二十二日朝、会員制交流サイト・フェイスブック(FB)にメッセージを書き込み、総決起集会の日時も紹介し、遊説に繰り出した。
国政選挙ではネットを使った運動が定着しつつあるが、結果に影響を与えたとまで言い切れない状況。ただ、僅差で当落が分かれる地方選挙の場合、ネット発信が当落を左右しかねない。前回の金沢市議選は最下位当選と次点の差は九十七票、小松市議選は三十六票、内灘、穴水両町議選は八票。発信内容次第でひっくり返るように感じる。
金沢市議選候補への本紙アンケートでは、四十三人中、二十三人がホームページ(HP)を開設、二十人がブログで発信していると答えた。有権者と互いに意見交換できるFBなどSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は三十二人が活用していると回答した。現職は「自分の活動や政策を広く発信できる」、別の現職も「市議としての考えを伝えるため必要不可欠」と強調する。
一方、全く活用しないと答えたのは七人。ある現職は「必要性は感じるが、一人でも多くの有権者と対話することを重視する」。HP、ブログ、SNSとも活用する現職でも「日常活動の発信に不可欠だが、選挙に影響するとは思わない」と効果に懐疑的だ。活用しない議員の平均年齢は六一・六歳、平均当選回数は三・九回。一方、活用する議員の平均年齢は五三・九歳、平均当選回数は二・三回。年齢が上がり、当選回数が増え地盤を築くと、ネットの必要性が薄れる傾向も反映したよう。過疎、高齢化地域はその傾向がより顕著だ。
珠洲市議選や穴水町議選は、活用する候補は数えるほど。使わない候補は「パソコンを使えないお年寄りのことを考えて」と、自身の支持者の多くがネットに疎い実情を打ち明ける。
野々市市議選や川北町議選では、日ごろスマートフォンを使う一部の候補、若手らがFBなどを活用。出陣式などを写真付きで伝えた。ある新人は「FBより地元を固めるのが先。(FBなどを)見られない年代も多い」と話す。