石川

【一強潮流 2015石川県議選後】(中)非自民異なる主張 どう連携 

2015年4月15日

3人に減った石川県議会第2会派の県政石川。影響力発揮には他党派との連携が鍵になる=14日、石川県議会で

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 「自民はやっぱり強かった。そういう状況でどうあるべきか。自民以外の方々と早急に相談したい」。石川県議会の第二会派・県政石川の顧問で、県議選で十二選を果たした無所属の金原博さん(85)は十四日、記者団に他党派との連携や合流などを検討する考えを示した。

 県政界で長年非自民勢力の先頭に立ってきた新進石川から分かれた県政石川。昨秋の金沢市長選に出馬するため辞職した元職の石坂修一さん(62)が今回返り咲いて合流したが、改選前は四人だったメンバーは現職の引退と落選で一人減った。第二会派と言っても三人では活動に限界が。「議席減は痛恨の極み」。同日、改選後初めての会合前、仲間が減り少し広くなった会派執務室で、三選の吉田修さん(52)は何度も漏らした。

 「県政石川には改選後、自民入りする者もいるんじゃないか」。県政界ではそんな臆測が出るほど、最大会派・自民の「一強」が際立つ。その自民は無所属当選者も加え三十人超えも視野に入れる中、県議不在だった民主は公認、推薦各一人を何とか獲得したが、いずれも新人。三人いた社民系会派「清風・連帯」は引退と落選で社民公認一人となり、県政石川を含め、勢力維持へ正念場が続く。

 県議選結果が出た十二日夜、民主県連の近藤和也代表は「ゼロという状況から考えれば前進。反転攻勢のきっかけにしたい」と意欲。小松市で唯一の公認として自民独占を阻んだ一川政之さん(41)も自らの得票一万票台を「自民一強への不満、不安な声の集まり」ととらえ、他党派との協力へ「いろんな面で連携できるところがある」と積極姿勢を見せた。

 一方、推薦した六人のうち四人が当選した連合石川。一定の影響力を持てる会派の実現を目指し狩山久弥会長は十四日、そのうちの一人、清風・連帯の現職で社民県連代表の盛本芳久さん(60)と接触。盛本さんは「一人会派の考えはない。少しでも多くの人と連携できたら」と前向きだ。

 連携の目安となるのは「代表質問権」が得られる七人以上。三党派は過去、国政選挙などでも「非自民」の枠組みで連携を取ったり、昨秋の金沢市長選で県政石川の石坂さんを支援したりした経緯がある。ただ、名前が挙がる二期目の本吉浄与さん(35)も、これまで通り一人会派の見通し。二〇一四年春の知事選出馬をめぐり民主を離党した川裕一郎さん(43)も「声がかかれば考えるが、そんなことはないと思う。民主と一緒の選択肢はない」と話し一人会派を続ける意向。七人集まるかどうかは微妙だ。

 一人や二人、三人では議会議案(四人以上)も提出できない。現時点で枠組みは見えないが、会派結成届の締め切りが十七日に迫る中、金原さんは「四人と三人は全然違う」とつぶやき、一人でも多く連携したい考えだ。

 ただ、原発政策などで主義・主張が大きく異なり調整すべき課題は少なくない。県政石川の一人は「その部分だけ互いに干渉しないことでまとまれば」と課題によって柔軟な対応ができれば連携もあり得る見方を示した。

 仮に七人にならない場合でも、代表質問権の条件緩和などを自民に働き掛けるとみられる。一強に対峙(たいじ)するための合従連衡。しかし、急繕いの結束ではいずれまたほつれかねない。 (統一地方選取材班)