石川

激戦区 悩める白山市過去最多9人乱立

2015年4月11日

各陣営 読めぬ票に腕組み

有権者 選択肢多く低調か

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 現職三人に元職一人、新人五人と、過去最多九候補が四議席を争う大激戦の石川県議選・白山市選挙区。合併前の旧市町村ごとの事情に加え、昨秋の市長選の影響が複雑な構図に拍車を掛ける。かつてない混戦に各陣営は票を読みあぐね、有権者からは多すぎる選択肢に頭を抱える声も。かえって低調ムードを指摘する声も上がる。(稲垣遥謹、松本芳孝、谷知佳)

 最大の激戦地は四人がひしめく旧松任市区域。選挙カーはひっきりなしに走り回り、連呼する名前が重なって聞こえることも。各陣営は票の食い合いを警戒し、地元票確保に躍起になっている。

 県議長の吉崎吉規さん(66)は五期の経験を前面に、地元を中心に集会を重ねる。七日の集会では「当選ラインまでもうちょっと」と油断を戒め。地域農協の支援も受け浸透を図る。

 大口英夫さん(49)は地元回りに徹する。スーパー前などで「若い人の働く場をつくり親と一緒に暮らせる町に」と福祉や雇用重視を訴える。徒歩遊説も織り交ぜ地道に支援を求める。

 「市から見た県政、県政から見た市。両方の視点を持つ」。元職で前市長の作野広昭さん(58)は九日の集会で強調。市長選落選を踏まえ陣営は「同情票も批判票もある」と引き締める。

 市内全域で「非自民」を押し出す共産の八田好弘さん(68)。街頭で「ブラック企業規制条例や農業問題に取り組む」と主張。住宅リフォーム助成の実現や原発再稼働反対に力を込める。

 有権者の多い松任の陣取り合戦に、美川地域からも候補がなだれ込む。

 現職の米光勲さん(61)は子どもから高齢者まで安心して暮らせる地域づくりを掲げ、五日の集会で「美川は一人上がるのが精いっぱい」と声をからし、美川代表の議席死守を訴えた。

 選挙区最年少の竹内孝徳さん(41)は、市長選で山田憲昭氏を支えた一人としてパイプを強調し「県と市の潤滑油に」と意気込む。地元美川では選挙カーを降り、有権者の元へ走る。

 告示直前に出馬を表明した山本大道さん(61)は、三日に第一声を放った後はポスター掲示に追われ、九日に遊説を再開。北陸鉄道石川線の加賀一の宮駅復活と金沢延伸などを訴える。

雨の中集まった支持者に深々と頭を下げて支援を呼び掛ける候補者=10日、石川県白山市内で

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 山側の鶴来、白山麓地域でもし烈な争いが続く。

 「山麓の実情を県政で訴える人が必要だ」。白山麓の横山隆也さん(50)は人口減対策や観光振興を主張。森喜朗元首相の秘書や二年間の市議経験を生かし、松任や美川へも浸透を図る。

 車幸弘さん(46)は鶴来では久々の地元生まれ候補として、地域の期待を一身に集める。足場は固めたが、遊説や集会でより支持を得ようと懸命。「スポーツは町を元気にする」と語る。

 各陣営は「混沌(こんとん)とした選挙。投票率も当選ラインもどうなるか分からない」と腕組み状態だ。ある現職陣営は「縁故を頼る山の選挙手法が有利かもしれない」と低投票率を懸念する。昨秋の市長選で同じ陣営にいた議員が今回は対立陣営に分散するなど、保守分裂だった市長選の影響はますます見えにくくなった。

 構図が複雑化する一方で、政策論争の盛り上がりは欠けたまま。新興住宅地の男性(36)は「結局、誰がなっても同じ気がする」とぼやく。選択肢が多く、分かりにくい混戦がかえって低調ムードを呼び込むジレンマを抱えながら最終盤を迎えた。

白山市選挙区 前回比2.3倍に

期日前投票まとめ

 石川県選管は、県議選(十二日投開票)の十日現在の期日前投票者数をまとめた。定数四に対し九人が立候補した白山市選挙区では前回の同期間より二・三倍と大幅に増えた。

 期日前投票の初日から七日間で比べ、白山市は前回の四千五百八十九人から大きく伸びて一万五百九十三人が投票した。

 十六議席を十七人が争う金沢市では三万七千十八人で前回の一・三倍。定数四に六人が出馬した小松市は前回の一・三二倍となる一万一千二十人になった。

 二議席に三人が立った河北郡では津幡町が一・九一倍、内灘町が一・八五倍と堅調な伸びを見せた。二議席に三人が立った羽咋市羽咋郡南部は羽咋市と宝達志水町の合計で〇・八九倍とやや減。制度の周知が進み、期日前投票の利用者は増加傾向にある。 (松本浩司)

白山市(四…9)

 横山隆也50 (元)市議  無新

 八田好弘68 党県委員 共新

 大口英夫49 (元)市議  自現<1>

 車幸弘46 自営業  無新 

 米光勲61 法人理事長 無現<1>

 吉崎吉規66 県議長  自現<5>

 竹内孝徳41 会社役員 無新 

 作野広昭58 (元)市長  無元<3>

 山本大道61 農業   無新 

=届け出順