石川

激戦区ルポ(5)金沢市落選1人 戦々恐々

2015年4月11日

16議席を17人で争う金沢市選挙区。1人だけ落選という少数激戦だ=金沢市役所前で

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 金沢市選挙区(定数一六)は、現職十三人と元職二人、新人二人の十七人が争う。落選一人の少数激戦に各陣営は神経をとがらせながらも、「われこそ」とばかりに集会や街頭で訴え。政党対決色が薄い中、新幹線開業ムードや、昨秋の金沢市長選から続く選挙疲れもあるせいか、関心が高まらない現状を懸念する声が強い。

■危機感、懇願調

 「地元発展に向け皆さんと精いっぱい頑張りたい。思いはあふれるくらいだが、誰が落ちるか分からない」。六日夜の演説会で、不安をのぞかせた自民の若手現職。応援弁士の市議も「サルは木から落ちてもサル。政治家は選挙に落ちたら惨めなものだ」と危機感をあおった。

 ベテラン現職ですら八日の演説会で「落ちてしまえば何にもならん。『またやる』ともう言いませんさけ、頼むこっちゃあげてください」と懇願調。新人陣営幹部は「当選にはまだ届かない。背中が見えてきたところだ」と必死の形相だ。

 これまで定数を二人以上超えたが、一超は初めて。極端に弱い泡沫(ほうまつ)候補も不在とされ、「誰が落ちる?」と神経戦の様相もある。

 候補の多くは地域や支援団体をしっかり固め、人脈などをたどり浸透させる戦い。徒歩遊説や街頭演説を繰り返したり、富山県境まで遊説カーを走らせたりする陣営もある。一方、中堅現職はほとんど遊説カーに乗らず、徹底的に地元を細かく回る戦略。若手現職は毎日決まった交差点に立ち「こここそが地元中の地元だ」と訴え、組織固めと浮動票獲得の二兎(にと)を追う。

■“口撃”より主張

 新たな顔触れが少なく新鮮味が薄いのも特徴。自民を含め守りの姿勢が政党対決色を薄めた。昨秋の二度の市長選で足元を固めた山野之義市長と各候補の関係も注目されたが、市長自身の目立った動きがないせいか、影響も限定的とみられる。

 他候補への“口撃”も控えめで、政策を語る候補が多い。新幹線開業を生かした政策や人口減少問題を中心に、県市連携の推進、情報公開徹底、次世代型路面電車(LRT)を活用したまちづくりなどテーマは多岐にわたる。現職や元職が具体的な数字などを交え「実績」をアピールすれば、新人は熱い思いを訴える。

■投票率は?

 新幹線開業直後で、能登を中心に無投票が多かったことも影響し、各陣営は低調ムードを懸念。市長選、衆院選と続く選挙疲れを嘆く声もあり、「投票率は下がる」との見方がもっぱらだ。金沢市の投票率は年々右肩下がりで、定数二超だった前回は過去最低の48・09%。終盤を迎え各陣営とも引き締めを図るが、盛り上がりに欠ける状況が続いている。 (統一地方選取材班)  

  =終わり

金沢市(一六…17)

 石坂修一62 (元)県議  無元<6>

 白崎勇人55 (元)政策秘書 自現<1>

 盛本芳久60 党県代表 社現<3>

 増江啓60 党県代表 公現<1>

 中村勲73 党支部長 自現<4>

 谷内律夫57 党県幹事長 公現<2>

 佐藤正幸47 党県役員 共現<1>

 冨瀬永50 団体役員 無新 

 紐野義昭59 (元)県議長 自現<6>

 米沢賢司64 (元)県職員 自現<4>

 安居知世46 党県局長 自現<1>

 宇野邦夫72 (元)県副議長 無現<7>

 不破大仁39 (元)市議  自現<1>

 川裕一郎43 会社役員 無現<2>

 下沢佳充54 (元)県議長 自元<5>

 田中敬人44 会社役員 無新 

 金原博85 (元)県議長 無現<11>

  (届け出順)