石川

無風最多も加賀地方激戦「自民一強」勢力図どう動く

2015年4月4日

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続く低投票率 歯止めにも注目

 県政界の行方を占う県議選が告示された。十五選挙区のうち八選挙区が無投票。戦後最多の一九七九(昭和五十四)年の七選挙区を三十六年ぶりに更新した。かほく市以北の能登地方がほぼ無風なのに対し、加賀地方は激戦区が多く対照的。新幹線開業を生かし、人口減対策や地方創生など山積課題にどう臨むか候補の主張に注目したい。国政、県政とも「自民一強」の勢力図がどう動くかも焦点だ。 (田嶋豊)

 能登の無風の背景に、人口減対策が急務で新幹線開業直後と重なり「結束し活性化に努めるべきで、選挙で争う時でない」との住民の思いがあるようだ。自民党の政権復帰により、六期目で影響力を強める谷本正憲知事とのパイプ役を自負する自民現職の対抗勢力が出にくい事情も絡む。

 一方、金沢以南は乱戦模様。白山市は例がない九人が名乗りを上げ、直近の市長選なども影響したとみられる。本紙アンケートでは、新幹線開業を受け「金沢一人勝ち」と加賀との格差拡大を懸念する声が強く、乱立の一因のようだ。

 候補の党派別では、県議会最大会派の自民は公認二十六人と推薦三人で、現有二十五議席の上積みを狙い、自民「一強」は続きそうだ。政権与党で足並みをそろえる公明は二議席堅守の戦い。

 前回与党で臨んだ民主は公認十一人、推薦三人を擁立し八議席を得たが、政権を失い離党で現職はゼロ。今回も各地で対抗馬擁立を模索したが、厳しい情勢で断念した地域もあった。最終的に公認、推薦各一人にとどまるが、今後の国政選挙も見据え社民や連合石川との連携も視野に入れる。共産は昨秋の県議補選で得た金沢市の二議席を、白山市と合わせ維持できるか注目される。

 党派の推薦を受けない無所属は支持を除き二十人で、一九九九年の当選十七人を超えれば戦後最多。選挙後に各党が取り込みを図るなど勢力争いに影響しそうだ。

 前回投票率は過去最低の56・72%。77・50%だった一九八三(昭和五十八)年以降ずっと右肩下がり。九五年から五回続けて過去最低を更新しており、歯止めがかかるか注目される。

 改革に積極的な議会に比べ、住民への情報公開、執行部との緊張感ある議論の面で遅れが否めない県議会。無投票が多く政治離れ加速の懸念も拭えない中、より良い県政実現のため有権者も候補、議員をしっかり見極める必要がある。