石川

県議選直前情勢10

2015年3月28日

守り合い少数激戦

金沢市選挙区(定数16)

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 金沢市選挙区(定数一六)は現職十三人に加え、昨秋の金沢市長選立候補のため辞職し返り咲きを狙う元職二人、新人二人の合わせて十七人が出馬予定。定数一超は戦後初の少数激戦だ。

■薄れる政党色

 前回から四年、民主党政権から自民党政権に戻り県政界も大きく変貌した。森喜朗元首相が引退し、自民の対抗勢力の軸だった県議会会派・新進石川も分裂。金沢市選挙区は、森氏系と故奥田敬和氏系が激しく主導権を争う「森奥戦争」の主戦場だったが終焉(しゅうえん)。奥田系だった中堅県議が自民に加わり、新進石川から分かれた第二会派・県政石川も民主を離党するなど、非自民勢力の瓦解(がかい)が進み「自民一強」が加速した。

 勢いに乗り自民は半数八議席を目標に空白区の南部で候補擁立を模索。女性候補名も上がったが出馬に至らず、公認は現職六人と元職の計七人。前回の五人に比べ二人上積みしたが、目標に達していない。議員空白地域の南部の浸透もにらみ、選挙後に無所属当選者の取り込みを図るかどうかも焦点となる。

 一方の民主は前回公認だけで七人擁立したが、今回は公認ゼロ、連合石川が支える新人一人の推薦にとどまる。公明二人、社民一人はそれぞれ現有議席を維持する戦い。共産は昨秋の補選で初めて二議席を得たが、過去の教訓から共倒れを避けるため候補を一本化した。自民を含め“守り”の姿勢が政党対決色を薄めている。

■トリプル選余波

 「泡沫(ほうまつ)候補のいない不気味な選挙」「誰が貧乏くじを引くか分からない」。地域回りに奔走する現職に危機感がにじむ。昨年三月の知事選以降、金沢市では、昨秋に急な引責辞職に伴う市長選と県議補選、市議補選の「トリプル選」、任期満了に伴う市長選、年末に急転直下の衆院選があり「選挙疲れが残る」と頭を抱える陣営も少なくない。

 競輪場外車券売り場問題に端を発した市長選では自民が分裂。現職を支持したある自民現職は今回、市長と自身の写真を並べるポスターを作製し「市長派」を前面に出すが、党派を超えて勢力が入り乱れたこともあり、どこまで効果があるか不透明だ。

 別の陣営では北陸新幹線開業で市内が沸き、選挙の低調ムードを懸念。「能登地区の無風で統一選そのものの関心が薄れている」とのぼやきも漏れる。「関心が薄れれば、組織があるものが強い」と引き締めを図る陣営もあり、水面下の探り合いが続く。

■年齢の幅広く

 候補予定者の平均年齢は前回が十八人で五十五歳だったが、今回は十七人で五十七歳で、約二歳上がった。女性は前回より少ない一人で、年代は三十九歳から現職では全国最高齢の八十五歳までが争う。

 出馬予定十七人のうち前回に続く出馬は十四人。平均年齢を押し上げるが、今期で引退する六十八歳現職の世代交代や、その他候補の若返りなどでプラス幅は二歳にとどまった。 (統一地方選取材班)=おわり

【立候補予定者】

 金原 博 (85)無現(11)

 宇野邦夫 (72)無現(7)

 紐野義昭 (59)自現(6)

 中村 勲 (73)自現(4)

 米沢賢司 (64)自現(4)

 盛本芳久 (60)社現(3)

 谷内律夫 (57)公現(2)

 増江 啓 (60)公現(1)

 佐藤正幸 (47)共現(1)

 安居知世 (46)自現(1)

 川裕一郎 (43)無現(1)

 不破大仁 (39)自現(1)

 白崎勇人 (55)自現(1)

 石坂修一 (62)無元(6)

 下沢佳充 (54)自元(5)

 冨瀬 永 (50)民新

 田中敬人 (44)無新

(氏名、年齢、無→無所属、自→自民党公認、社→社民党公認、公→公明党公認、共→共産党公認、民→民主党推薦、現→現職、元→元職、新→新人、丸数字は期数。現職、元職、新人の順。現職は期数や年齢、当選時期順、元職は期数順、新人は年齢順、敬称略)