石川

県議選直前情勢8

2015年3月26日

現職存在感 無風か

七尾市選挙区(定数2)

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 七尾市選挙区(定数二)には、いずれも自民党現職で六期の和田内幸三氏(67)=矢田町=と二期の西田昭二氏(45)=石崎町=が立候補を予定。ほかに目立った動きはなく、無投票の公算が大きい。

 定数削減で現職三人が二議席を争った前回の激戦を勝ち抜いた両氏は、選挙でも強いと言われる。ベテランの和田内氏は建設業界などに安定した支持基盤を持ち、年明けの新年互礼会では千人規模の支持者を集めた。西田氏はかつて秘書を務めた故・瓦力元衆院議員の支持者や市議らを味方に態勢を整える。

 両氏とも日ごろから、地域のイベントや式典、会合などにこまめに顔を出し、存在感を発揮。「勝ち目の薄い戦い」と思わせることで、他候補擁立の動きを鈍らせている。

 昨年十二月の衆院選で七尾市の得票をみると、落選した民主党の近藤和也氏が、当選した自民党の北村茂男氏を三千五百票ほど上回り、県議選でも民主勢力が候補を立てれば善戦するかに見える。

 しかし、衆院選の結果は政党間の勝負ではなく、地道に街頭活動を続けた近藤氏の力によるところが大きいとの見方が強い。比例代表では自民が民主に勝っており、近藤氏本人が出馬でもしない限り勝機は見いだしにくいといい、その可能性はない。

 「選挙があるといろんな人から投票を頼まれ、うんざりする」。市民からは、旧来型の選挙戦術から脱却して政策論争による選択肢の提示を望む声も聞こえるが、実現しそうにない。 (鈴村隆一)

 【立候補予定者】

 和田内幸三(67) 自現(6)

 西田昭二 (45) 自現(2)

 (氏名、年齢、自→自民党公認、現→現職、丸数字は当選回数、期数順、敬称略)

「他におらん」の声

輪島市選挙区(定数1)

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 輪島市選挙区(定数一)は、自民党現職の宮下正博氏(65)=門前町深田=の他に出馬の動きはなく、無投票の可能性が高い。

 「四年前の県議選はいろんな苦労がありました」。七日にあった宮下氏の後援会事務所開き。あいさつ冒頭、後援会長の梶文秋輪島市長の胸には、さまざまな思いが去来したようだ。

 選挙区と定数の変更で、輪島市で二人いた自民現職のうち一人が勇退し円満に行くはずだった四年前。ところが旧輪島市域から保守系の無所属新人が立候補し、保守一本化を訴え市の融和を目指した梶市長が辞職願を提出する事態に発展した。

 選挙戦は避けられなかったが、結局、旧門前町の宮下氏が当選し、今任期中に副議長に就任。輪島市出身の北村茂男衆院議員とも連携し、国と県、市のスクラムは安定期を迎えたように映る。

 過疎化が進む奥能登は高齢化率(人口に占める六十五歳以上の割合)が四割超。高校を卒業した若者の多くは地元を離れていく。「奥能登にとっては政治の力が大事」。梶市長は力を込める。

 来年二月、旧の輪島市と門前町が合併し十年。「四年前とは違う。今はもう、輪島だ、門前だ、という時期は過ぎた」。市民だけでなく、宮下氏を支持する市議の中にもそんな声がある。中谷達行市議長(74)もその一人だが、「知事とのパイプが太く、課題が多い現状と市の将来を考えたとき、最も仕事ができるのは宮下さん。他に誰もおらんやろ」と説明する。

 四年前の騒動時に市議長を務め、前回選で落選した保守系新人を支援した上平公一市議(59)は「知事、市長、県議の結び付きが強く、建設業界も一つのグループにまとまっている。刷新は難しい」と実感がこもる。一方で「現状に不満や閉塞(へいそく)感を抱く市民もいる。私も含めて政治家は謙虚さを忘れてはいけない」とくぎを刺す。

  (松瀬晴行)

 【立候補予定者】

 宮下正博(65) 自現(3)

(氏名、年齢、自→自民党公認、現→現職、丸数字は当選回数、敬称略)