石川

民意反映、熟議 課題も石川・富山の議会アンケ

2015年3月24日

基本条例 3分の1制定

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 4月の統一地方選を前に、本紙は石川、富山両県の県議会と市町村議会にアンケートで現状を尋ねた。議会基本条例を定めたのは全36議会のうち12議会、条例に基づく住民への議会報告会は9議会が開いている。ただ、報告会は近年始めた議会が多く、執行部議案を議員同士でじっくり議論する討議を条例で規定しても実施する議会がほとんどないなど、条例の実践が伴わない現状も判明。各議員の議案賛否情報や傍聴者への資料配布など情報公開の遅れも浮き彫りとなった。(統一地方選取材班)

 基本条例は議会の「憲法」といわれ、議会や議員が目指す姿を定め、住民の意向を反映させる仕組みとして報告会開催を明記する議会も多い。二〇〇六年に北海道栗山町議会が初めて制定し普及した。石川は県議会や金沢市など九議会、富山は高岡市など三議会が制定。富山は進んでいないが、黒部市議会は十二月までに制定する方向で検討中、魚津市議会は自治基本条例に議会の役割を盛り込んだと回答した。

 条例に基づき原則住民誰でも参加できる報告会開催は石川が金沢市など七議会、富山は小矢部市など二議会。開催議会の多くは、基本条例制定に伴い始めたばかりの例がほとんどだ。条例制定が早かった石川の白山市や加賀市の両議会は、実績を踏まえ開催場所を細かく分けるなど住民への配慮が見られる。

 ただ、金沢市議会が昨年開いた報告会は、住民の意見に対し議会が「意見として承る」と繰り返す場面が目立った。先進的な取り組みを行う議会に比べ、住民の意見を政策提言に反映できるか今後の課題となる。

 執行部の議案を議員同士で時間をかけ議論し、議会の対応を決める「議員間討議」を基本条例に定め実施する議会も全国的に増加している。が、両県内は条例に規定を盛り込みながら討議を実施していない議会がほとんど。必要に応じ議員協議会などで議論すると答えた議会もあるが、執行部議案について十分討議する取り組みは進んでいない。

 執行部と議論を深めるため効果的とされる一般質問の「一問一答式」採用は、一括質問式との選択制や一部導入を含め石川は金沢市など十二議会、富山は富山市など六議会。執行部と緊張関係を保つため議員が執行部と対面する形で一般質問する議会は、選択制を含め石川が十二議会、富山が七議会だった。

 主流の年四回会期をあらため、災害時に素早く審議でき議長の意向で開催し議会が主導権を持ちやすい「通年議会」を導入したのは富山はゼロ、石川は津幡町など四議会だった。

 一方、住民への情報公開で、傍聴者に議案などの資料を配ると答えた議会は少なく、閲覧や一時貸し出しにとどまる。住民にとって、選んだ議員が議案をどう判断したかは重要な情報だ。各議員の賛否を議会だよりなど広報誌に掲載する議会は多いが、ホームページで公開すると答えたのは石川で七議会、富山で三議会にとどまった。