石川

県議選直前情勢5

2015年3月22日

8人が乱立 大混戦

白山市選挙区(定数4)

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 白山市選挙区(定数四)は現職三人に、元職一人、新人四人の計八人が出馬表明。近年にない、し烈な選挙戦に突入しそうだ。

 同選挙区は現在、県議だった山田憲昭氏が昨年十一月の市長選で当選し欠員一。現職は県議長で五期の吉崎吉規氏(66)=自民党公認、剣崎町=と、いずれも一期の大口英夫(49)=同、新成三=、無所属の米光勲(61)=松本町=両氏の三人。

 現職三人は市長選で山田氏の対立候補で落選した前市長・作野広昭氏(58)=上小川町=支持に回り、市長選後は山田市政との協力関係構築が懸案。新人四人のうち、共産党公認の八田好弘氏(68)=八ツ矢町=を除く三人は、いずれも県と市のパイプ役の必要性を訴え対決姿勢を打ち出す。

 市長就任前に自民県議を三期務め県副議長も務めた元職の作野氏は二月下旬に出馬表明。早い時期から出馬が取りざたされていたが、「多くの方から市や県のために力を尽くしてほしいと声があった」と決意を固めた。

 作野氏にとっては市長選で応援してくれた県議三人と争う形になり、同氏出馬に疑問の声も。ある市議は「市長選で応援してもらった以上、今回は応援する立場に回るのが道理」と閉口する。別の市議も「二十五年の政治経験は重要だが、賛否両論あるのでは」と複雑な思いを明かす。

 山田氏の市長転身で県議不在の白山麓地域から、森喜朗元首相秘書出身で元市議の新人・横山隆也氏(50)=河内町久保=が出馬。市議会三月会議で市議を辞職し退路を断った。隣接する鶴来地域から地元の後押しを受け新人の車幸弘氏(46)=自民党推薦、鶴来大国町=が名乗り出た。父が合併前の旧鶴来町長で知名度があり、両地域の有権者数を見て二人とも当選する可能性があるとの見方の一方、地域内の票の奪い合いになる可能性もあり、緊張感が高まる。

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 昨年の市長選の影響は美川地域にも及んだ。同地域には現職米光氏と、無所属新人の竹内孝徳氏(41)=蓮池町=が後援会事務所を構えた。米光氏は県議だった兄の正次氏=享年六十二=死去に伴う昨年三月の県議補選で当選したが、補選で竹内氏の名前も挙がっていた。「美川を二分してはいけない」との地元の声が強かったことや、急死した現職の弟が立候補することなども踏まえ竹内氏は辞退した。

 しかし、県議だった山田氏の市長選勝利を受け竹内氏は「状況が一変した」と決意。父が旧美川町長だった知名度も生かし、県政とのパイプ役を訴えての出馬だが、地盤が重なる米光氏と票を取り合うことは必至で、共倒れを危ぶむ声もある。

 八田氏は、昨年の衆院選で目立った自民と共産の対決構図を土台に支持を広げたい考え。定数四の倍の八人の混戦に、各陣営は危機感を強める。各後援会は「まず地元から」と支援者を集め支持固めを急ぐ。

 市選管によると、二〇一一年の前回投票率は53・32%止まり。新興住宅地を歩き、若い世代に選挙参加を呼び掛ける方針の陣営もある。候補乱立で情勢が読みにくく、水面下の綱引きが激化している。 (稲垣遥謹)

【立候補予定者】

吉崎吉規(66) 自現(5)

大口英夫(49) 自現(1)

米光 勲(61) 無現(1)

作野広昭(58) 無元(3)

八田好弘(68) 共新

横山隆也(50) 無新

車 幸弘(46) (自)新

竹内孝徳(41) 無新

(氏名、年齢、自→自民党公認、共→共産党公認、無→無所属、(自)→自民党推薦、現→現職、元→元職、新→新人、丸数字は当選回数。現職、元職、新人の順。現職は当選回数と当選時期の順、新人は年齢順、敬称略)