石川

県議選直前情勢2

2015年3月18日

羽咋郡北部選挙区(定数1)

16年ぶり無投票か

 「大丈夫 言われ出したら 要注意」。七日、七期目を目指す自民党現職の石田忠夫氏(72)=志賀町富来領家町=の後援会事務所開き。会長を務める志賀町の小泉勝町長が自作の川柳であいさつを締めると、石田氏の支援者からは余裕の笑い声がもれた。

 志賀町の羽咋郡北部選挙区(定数一)は、現時点の出馬予定者は石田氏だけ。一時は町出身の金沢市議の出馬が取り沙汰されたが、十六年ぶりに無投票となる公算が大きい。

 県議長、党県連幹事長も務めた石田氏。選挙戦を前提に気を引き締め「地域には地方創生に向け波風を立てたくない思いがある」と他の動きをけん制。小泉町長は「石田さんは実績も経験も十分。町民は安定を望んでいる」と後押しする。

 無風の要因について、旧富来町の石田氏と旧志賀町の小泉町長の良好な関係を指摘する声は多い。二人は二〇〇三年と〇七年の県議選で争い一勝一敗だったが、〇九年町長選で石田氏は一転、当時政治の表舞台から離れていた小泉氏を支援。以来、持ちつ持たれつの関係を築く。

 前回、石田氏と争った人物の元後援会関係者は「今は旧志賀から町長、旧富来から県議を出し、すみ分けできている。がっちり手を組む間は誰も勝ち目はない」と話す。

 北陸電力志賀原発の固定資産税の先細りや原子力防災など独自の重い課題を抱える志賀町。町民からは「選挙がないと政治に無関心になる」との声が漏れる一方、「選挙で争っても誰の得にもならん」と無風を歓迎する声も多い。 (渡辺大地)

【立候補予定者】

石田忠夫(72) 自現(6)

(氏名、年齢、自→自民党公認、無→無所属、現→現職、丸数字は当選回数、敬称略)

野々市市選挙区(定数2)

現職安定 関心薄く

 現職二人の無投票当選が濃厚となっている野々市市選挙区(定数二)。「よくいえばバランスが取れている。裏を返せば選択肢がない」。市内の五十代男性は冷めた様子だ。

 出馬する現職二人は、いずれも元野々市町議で、三期目を目指す県議会会派・県政石川の無所属、吉田修氏(52)=野代二=と、二期目を目指す自民党の徳野光春氏(57)=太平寺一。県内の自民一強の流れに乗りたい徳野氏、市長との近さで浸透を図る吉田氏がともに着々と準備を進める。

 非自民の流れをくむ粟貴章市長は今回、両氏の後援会事務所に自ら出向いてげき文を届けた。これに象徴されるように、住民からは「県内で最も狭い市域での政治的対立はまちづくりにプラスに働かない」と安定を志向する声も聞かれる。

 かつて、平成の大合併で白山市になった旧鶴来町や白山麓五村(旧河内村、旧吉野谷村、旧鳥越村、旧尾口村、旧白峰村)と同じ石川郡東南部選挙区だった野々市町時代は、激しい選挙戦を展開した時期もあった。

 野々市市の別の五十代男性は「野々市には白山麓の出身者も多い。地域で割り切れる選挙ではなかった」と振り返る。

 二回連続の無投票を経た前回二〇一一年四月の単独選挙区への移行時には吉田、徳野両氏を含む三氏による選挙戦となったが、投票率は43・81%にとどまり、両氏がダブルスコアの差で圧勝した。

 市は人口が急速に伸びている一方で、持ち家率41・7%(一〇年)と学生や転勤族の多い土地柄。投票率は毎回最下位を争う低迷が続く。新たな政治的うねりが生まれにくい背景について男性の一人は「住民の地元意識は低く、政治への関心は薄い」と分析する。

  (谷知佳)

【立候補予定者】

吉田修(52) 無現(2)

徳野光春(57) 自現(1)