全国

原発立地3知事、再稼働語らず勝利

2015年4月13日

写真

 今回の統一地方選は、東京電力福島第一原発事故から四年間の原発政策を地方から問う機会でもあった。十道県知事選のうち、原発が立地する北海道、福井県、島根県では、いずれも原発再稼働を進める自民党の支援を受けた現職が、脱原発を掲げた新人を破った。現職三知事が原発再稼働の是非を前面に出さず、争点化を避けた結果ともいえる。

 北海道知事選は、自民、公明両党の道組織が推薦した現職の高橋はるみ氏(61)が四選を目指し、民主党や共産党が実質支援した新人で元民放アナウンサーの佐藤のりゆき氏(65)が挑む、「オール与党対オール野党」対決になった。

 佐藤氏は知事選を「原発か脱原発かの住民投票」と位置付け、北海道電力泊原発(泊村)の再稼働を最大の争点に挙げた。演説でも「北海道の経済や環境を守るため、原発はいらない」と強調した。

 これに対し、高橋氏は公約に「原発に依存しない北海道を目指す」と明記したが、泊原発の再稼働については態度を鮮明にしなかった。演説では地方創生の推進を前面に出し、十一日の札幌市での最後の訴えでは原発に触れなかった。

 北海道は、函館市が対岸の青森県大間町での原発建設差し止めを求めて提訴するなど、原発問題への関心は高い。しかし、今回の選挙では候補者の議論がかみ合わずに終わった。

 福井県知事選は、自民、公明、民主三党の県組織から推薦を受け四選を狙った現職の西川一誠氏(70)と、共産新人の金元幸枝氏(57)の一騎打ちになった。

 西川氏は原発再稼働に関する姿勢を明確にする環境が整っていないと判断し、選挙戦で賛否を明言しなかった。世論調査で再稼働への理解が広がっていないことから、原子力規制委員会の審査完了など、容認の条件を挙げるにとどまった。

 挑んだ金元氏は、全国最多の原発十四基が立地する福井からの「原発ゼロ、再稼働反対」を主張。原発に依存してきた地域経済への影響を緩和するため、廃炉作業で雇用を確保すると訴えたが、再稼働反対の世論を集約できなかった。

 島根県知事選でも、自民、公明両党が推薦した無所属現職の溝口善兵衛氏(69)が、脱原発を訴えた共産新人の万代弘美氏(65)を下して三選を果たした。

(木谷孝洋、西尾述志)