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地域再生、主役は有権者きょう投開票

2015年4月12日

最後のお願いに繁華街を駆け回る市議選の候補者=11日午後7時30分、名古屋市内で

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 統一地方選前半戦の最終日となった十一日、東海地方の知事選や県議選、名古屋市議選の候補者が最後の訴えに声をからした。盛り上がりに欠けるともいわれる選挙戦。実績をアピールする現職、刷新を呼びかける新人らが「一票」を求めて選挙区を駆け回った。十二日、地域の未来を託そうとする有権者の審判が下る。

◆減税VS既成政党、再び 名古屋市議選(定数七五)

 河村たかし市長が代表を務める減税日本の評価と、前回選で苦杯をなめた既成政党の巻き返しが注目される。

 前回、二十八人が当選した減税。「納税者が喜ぶ政治にしたのが、庶民革命。名古屋を変えたんです」。午後七時すぎ、河村市長は議員報酬半減や市民税減税の実現を挙げ、有権者に当時の思いを呼び覚まそうと声を張り上げた。候補者を十八人に絞ったが、今回も事実上、河村市長VS市議会多数派という構図。新人は「もう一度、庶民革命をここから始める」と訴えた。

 「逆風」がやみ、政権与党の立場から議席増をもくろむのが最大会派の自民。改選前の十八議席から上積みを狙い、二十六人を擁立した。ある現職は「パフォーマンスに頼らない政治を行い、地域の声を市政の真ん中に届ける」と訴えた。

 前回惨敗した民主は十九人を公認し、復活をかけた選挙戦。新人の個人演説会に党幹部が駆け付けて支持を呼びかけた。

 昨年の衆院選で躍進した共産は十七人を擁立し、現有五議席の倍増を狙う。住宅街を支持者と一緒に手を振りながら歩いた新人は「期待や激励の声をかけてもらえる」と自信を深めた。

◆愛知県議選(定数一〇二)

 最大会派の自民が、過半数議席獲得を目指して現有四十七議席を上回る六十人を擁立。民主も現有二十三議席から「三十台はほしい」(県連幹部)とし、一人区での戦いは勝敗の鍵を握る。

 自民、民主の一騎打ちで一議席を争う名古屋市の熱田区選挙区では十一日、民主現職の華地山義章さん(46)がスーパー前で「三期十二年、区民の声を県政に届けてきた」とアピール。「号泣県議」など地方議員の不祥事が続いたことに触れ、「選挙公報発行などを通じ、開かれた分かりやすい県政の実現を目指す」と訴えた。

 自民新人の吉岡寿樹さん(47)は朝から自転車で走り回った。「目を合わせてくれた人には駆け寄って、自己紹介から始めてきた」。建築士の経歴を生かして防災対策の充実を訴え、「専門家の視点から、住宅の耐震化などに取り組んでいきたい」と話した。

 愛知県議選では、複数区で積極的に候補者を擁立した共産が三期十二年の議席ゼロに終止符を打てるかどうかも焦点となる。

◆「医療介護支援」藤井さん、「働く場増やす」鈴木さん

三重知事選

 現県政の評価が争点の三重県知事選は、再選を目指す鈴木英敬さん(40)=自民、公明推薦=に、県政の転換を求める藤井新一さん(56)=共産推薦=が挑む。

 藤井さんは鈴鹿市内で街頭演説を繰り返し、医療介護への支援やブラック企業の規制、再生可能エネルギー普及などを挙げ、「お年寄りや子どもが安心に暮らし、若者が希望を持てる県政をつくる」と訴えた。

 鈴木さんも鈴鹿、四日市市などで演説。県内人口が毎年八千人規模で減る現状に触れ、「自動車や農業など地域の産業を元気にして働く場を増やす」とアピールした。医療の充実と教育の向上も訴え、「二期目に向けて新たな命を吹き込んでほしい」と頭を下げた。

◆岐阜県議選(定数四六)

 強固な支持基盤のある自民が、現有三十議席からの上積みを狙う。

 岐阜市選挙区は自民、民主、公明、共産の公認候補に無所属も加わり、定数九に十二人が立候補した激戦区。夕方、岐阜駅周辺に各候補が次々に訪れ、行き交う人に向かって声をからした。

 名鉄岐阜駅前に姿を見せたのは自民現職。マイクを握り「希望の持てる社会をつくることを約束する」。演説の終わりを待っていたかのように、自民新人が選挙カーで現れ「大変厳しい選挙戦。力を貸して」と有権者に手を振った。

 入れ替わるように現れた共産新人は道路の反対側へ。「県議会で唯一の野党の議席を」と支持を呼びかけた。

 その後、民主現職が同じ場所に選挙カーを止めて演説し、「あすはいよいよ審判の時。私に、私に、私に一票を」と絶叫した。十分後、公明新人が「皆さんの生活を守るため、なんとか勝たせていただきたい」と頭を下げた。