全国

投票率アップへ熱き訴え

2015年4月8日

 十二日にある統一地方選前半戦の投開票に向け、各地の選挙管理委員会が啓発活動に知恵を絞っている。争点が目立たず、盛り上がりはいまひとつとあって、低下が懸念される投票率。若者にPRしようと名古屋駅前の巨大マネキン「ナナちゃん人形」にご登場願ったり、ショッピングセンターに期日前投票所を開設したりと懸命だ。

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 名古屋市選管が目を付けたのはナナちゃん人形。原寸大の胸像(高さ二・七メートル)をトラックの荷台に載せて九〜十一日、繁華街や大学周辺を回って投票を呼び掛ける。キャラバン隊長はナナちゃんだ。選管職員は「知名度抜群のナナちゃんが動くので目を引く。若者が撮影し、会員制交流サイト(SNS)のフェイスブックなどで拡散されれば、関心アップにつながるはず」と期待する。

 市議選の投票率は出直し選となった前回の二〇一一年、期日前投票は前々回の二倍ペースと好調だったが、投票日二日前に東日本大震災が発生して鈍化。過去四番目に低い43・96%だった。

 岐阜県関市は、市選管が発行する投票記録スタンプ帳「選挙パスポート」の活用をPRする。本物のパスポートを模した手帳で、市役所などで無料配布している。押印欄は百回分。投票した後に投票所でスタンプを押し、記録できる。

投票をPRするためトラックの荷台に載せられた「ナナちゃん人形」の胸像=8日、名古屋市中村区の中日本装備で

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 経済団体や市民グループでつくる「関市まちづくり協議会」も協力。スタンプを押した選挙パスポートの提示が協賛店舗であれば、割引などをする。パスポートは一昨年一月の知事選から発行し、割引は同年七月の参院選で実施して以来。協議会の浅野欽一郎会長(56)は「若者にも選挙に興味を持ってもらうきっかけになれば」と期待する。

 知事選と県議選がある三重県。鈴鹿市選管は四日に期日前投票所を市内のショッピングセンター「イオンモール鈴鹿」に設けた。大型商業施設に期日前投票所を設置するのは県内初。

 県議選告示から最初の週末となった四、五の両日は、同投票所で計約千七百人が期日前投票した。同市は前回、知事選、県議選の投票率が共に57%台。市選管担当者は「上々の滑り出しで、手応えを感じる」と話す。

 滋賀県彦根市選管もショッピングセンター「ビバシティ彦根」に期日前投票所を設けた。

選挙パスポート(左)と割引を紹介するフェイスブックの専用ページを表示したタブレットを持つ浅野欽一郎会長=岐阜県関市で

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 昨年の知事選と衆院選でも試みた投票促進策。彦根市ではここ十〜十五年、国政選、地方選問わず投票率が低迷し、前回県議選の41・72%は県内自治体で最低だった。「半数以上の有権者が投票に行かない現状を何とか改善させたい」(選管担当者)と力を込める。

◆全国の選管も工夫凝らす

 川崎市選管では、地元・川崎競馬のレースに協賛。県議選、市議選が告示された三日の第十レースを「忘れないで、大切な日を。統一地方選挙記念」と銘打ち、来場者に投票を呼び掛けた。石川県選管も七日、金沢競馬場で冠レース「四・一二みんな投票しま賞」を開催した。

 ご当地アイドルが一役買ったのは千葉県。JR千葉駅近くで三月、女性グループが「県議選オリジナル曲」を披露。多くの通行人が足を止め、二千人分のチラシやティッシュなどは一時間半でなくなった。

 石川、福井両県など、チラシと一緒にクッキーを配る選管が目立つ中、埼玉県はガムを選んだ。「ガムなら食べ切るのに時間がかかり、PR効果が長続きする」という学生の意見を採用した。包装箱に「ガムはかんだらゴミ箱へ あなたの思いは投票箱へ」のメッセージを印刷し、一万個を配る。選管担当者は「ガムをかむと集中力が高まる。これを食べて埼玉の未来をじっくりと考えてほしい」。