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モノ申す共産攻勢政権批判票の取り込み狙う

2015年4月8日

 統一地方選で共産党が意気軒高だ。躍進した昨年十二月の衆院選の勢いをかって、県議選や名古屋市議選でも擁立候補を増やしたり、議席ゼロからの脱却へ攻勢を強める動きが目立つ。国政野党第一党の民主が候補者を絞る中、「確かな野党」を自任する共産は政権批判票の受け皿となれるか。

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 三重県議選で共産は、四日市、津、伊勢の三市で候補者を擁立した。四年前の前回選で二議席を失い、現在議席はゼロ。その奪還と上積みを目指し、前回より擁立を一人増やした。党県委員会の大嶽隆司委員長は「三重県議会は自民も民主系の会派も現職知事の与党なので、どちらが過半数になっても変化は起きない。ブレーキをかけられるのは共産だとアピールしたい」と力を込める。

 愛知県議選の擁立は前回の四人から十一人に増やし、十二年ぶりの議席復活と過去最高の四議席以上の獲得を狙う。二月の知事選で、共産をのぞく主要政党は現職知事を支援。党県委幹部は「県議会がオール与党状態だということが鮮明になった。ものが言えるのは共産だけだ」と訴える。

 党本部も長い空白の解消を最優先に位置付け、統一選開始後、志位和夫委員長が二回来県。重点区とする一宮市、春日井市、名古屋市緑区、豊橋市で応援演説した。

 名古屋市議選には、全十六選挙区に計十七人を擁立。改選前の五議席からの倍増以上を狙う。これまで議席を獲得したことがない選挙区が五つあり、このうち定数三を九人が争う中区選挙区の新人は「無駄な大型開発の前に、福祉や教育に税金を使う」と街頭演説を続ける。

 党の訴える雇用の安定を、実体験に重ねて訴える候補も。運送業の派遣社員だった新人は花見客でにぎわう公園前で「私も非正規雇用で生計を立てる身だった。政治にもたらされた害悪は、政治でただすしかない」と呼び掛けた。

街頭演説を終え、有権者と握手して支持を訴える愛知県議選と名古屋市議選の候補者=7日午後、名古屋市内で

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 岐阜県議選では岐阜市、大垣市などに四人を擁立した。最も重視するのが、一九七一(昭和四十六)年から保っていた岐阜市での議席復活。昨年十二月の衆院選に党所属県議がくら替えしたため議席を失った。岐阜市選挙区は十二人が九議席を争う激戦。立候補した元岐阜市議の新人は「何が何でも議席は確保しなきゃいけない。責任は重大」と支持拡大を図る。

(統一地方選取材班)