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国→地方にくら替え候補に有権者複雑

2015年4月6日

国政から名古屋市議選にくら替えし、演説会で気勢を上げる候補者(中央)=5日、名古屋市で

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 十二日投開票の統一地方選前半戦では、前回選挙から所属党派を変えるだけでなく、国会議員経験者が地方議員を目指すなどの「くら替え」候補が目立っている。地域のために尽くしたいのか、議員として生き残りをかけるためか。訴えに耳を傾けながら、戸惑う有権者もいる。

 「県議、衆院議員を経験し、私は強く、たくましくなった。その経験を皆さんのお役に立てます」

 五日夜、名古屋市内の演説会。五人が争う名古屋市議選東区選挙区(定数二)で、河村たかし市長率いる減税日本が擁立した女性(52)は、支持者にアピールした。市議選では新人だが、愛知県議や衆院議員も務めた経歴の持ち主だ。

 河村市長の衆院議員時代の秘書を経て政治家を志し、初めて臨んだ二〇〇七年の県議選で民主から当選。二年後の政権交代がかかった衆院選で国政に転じたが、減税日本結成にかかわり民主を離党、一二年十二月の衆院選で敗れた。

 再び国政に挑まず市議を目指すことに、この候補は「庶民目線の河村市政の継続と発展に力を尽くすため」と説明。一方、対立陣営からは「市長のためではなく、市民のために働くのが市議だ」と批判が飛ぶ。

 国会議員からの転身組は岐阜県議選にも。告示日の三日、十二人が立候補した岐阜市選挙区(定数九)で無所属元職女性(49)の第一声は、国政への再挑戦をあきらめた理由から始まった。

 「二年前の衆院選からずっと、どうしたらいいか考え、あらためて県民のために働きたいと思いました」

 一九九九年の県議選に自民推薦で初当選。その後自民公認となったが三期目途中の〇九年に民主に移り、八月の衆院選で比例単独候補として当選した。だが一二年の衆院選は落選。「政局に左右される国政は物事が決まらない。県を良くするには県議が一番」と五年八カ月ぶりに古巣を目指す。

 演説を聞いた有権者には複雑な思いも。無職男性(68)は「とりあえず議員になりたいのかなあ」。県議選の初当選時から支援する女性(65)は「県を良くしたいという本人の思いが理解されるか心配」と漏らした。

 岐阜県議選ではほかに、六人が争う大垣市選挙区(定数四)に元衆院議員の無所属新人男性(61)、三人が立候補した関市選挙区(定数二)に県議から関市長となり、再び県議を目指す自民元職男性(69)も。

 名古屋市議選には、かつて自民で愛知県議選に六回当選し、議長も務めた男性(69)が九人の激戦区となった中区選挙区(定数三)に無所属新人として出馬。「選挙区は変わらず、市民のために力を尽くしたいとの思いは同じ」と話した。

 (統一地方選取材班)