全国

再生へ、苦肉の民主候補者絞り「確実に議席を」

2015年4月2日

 統一地方選が、岡田克也新代表の下で初の大型選挙となる民主党。地方組織の足腰を強め「政権奪還への足掛かりに」と現有議席の上積みを目指す。「民主王国」と呼ばれた岡田代表の地元・三重県では知事選で不戦敗となり、県議選でも民主系候補の擁立が定数の過半数を下回る。愛知、岐阜両県議選や名古屋市議選も追い風は吹かず、党勢回復の道のりは険しい。

 民主・連合系の地域政党で三重県議会最大会派「新政みえ」は当初、県議選(定数五一)で過半数の二十六人の擁立を目指した。だが、人材不足などを理由に二十三人にとどまる。最大会派を守るには二十六人を公認した自民との競合区を制し、全員の当選が不可欠だ。

 新政みえは「方向性が一致する」として、知事選で再選を目指す無所属現職(40)=自民、公明推薦=の推薦を決め、県連とは対応が分かれた。県議の一人は「党への逆風を考えると、知事の知名度も使わないと生き残れない」と認めた。

 一方、三重と同じく「民主王国」と呼ばれた愛知県では、県議選(定数一〇二)で四十人を擁立し、大幅な議席増を狙う。強気の要因は、河村たかし名古屋市長率いる減税日本の退潮だ。前回選で名古屋市内の選挙区を中心に減税候補に競り負け、議席は三十五から二十六に。減税は十三議席を獲得した。減税はその後、不祥事による辞職や離党が相次ぎ、今回は四人の出馬にとどまる見通し。民主県連幹部は「減税に敗れた元職の返り咲きも含め、三十議席の大台は回復しなければ」と意気込む。

 昨年十二月の衆院選でも固い労組票などに支えられ、十五小選挙区での勝利を前回の二から六へと増やした。ただ、かつての勢いには遠く、ある県議選候補者は「特に追い風は感じない。地力が試される」と気を引き締める。

 岐阜県でも党勢の低迷は続く。前回選で八人が当選した県議会の民主系会派は二人が離党、別の一人は除籍処分に。うち一人は会派からも離脱した。

 昨年夏、打開策にと所属議員が参加して政治団体「新政ネットぎふ」を設立。「非自民勢力の結集」を掲げて党外からも候補者を公募したが、応募者はゼロ。結局、党所属の市議らに打診して県議選(定数四六)では公認五人、推薦三人を擁立した。民主県連幹部は「統一選を反転攻勢への一歩にしないと。やれることは何でもやる」と訴える。

 名古屋市議選(定数七五)では、二十七人が立候補した四年前に及ばず、公認・推薦合わせて二十人の擁立にとどまる。ベテランの現職は「確実に議席を取るためだ」と打ち明ける。

 減税日本のあおりをもろに受け、前回選の当選者はわずか十一人。最大会派の座を失った。今回は減税に投票した有権者の動向が焦点となるが、若手の立候補予定者は「維新も各区で擁立し、われわれと票の奪い合いになる」と推測する。