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中部6県の県議選、22選挙区が無投票か

2015年3月14日

統一選が迫る中、党の政策を訴える宣伝カー=13日、名古屋市内で(一部画像処理)

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 四月に行われる中部六県(愛知、岐阜、三重、長野、福井、滋賀)の県議選では、全体で無投票の選挙区が四年前の前回より増え、四割程度を占める見通しだ。愛知では十三日時点で五十五選挙区のうち、二十二選挙区が無投票の情勢。前回の七選挙区から三倍増となる。地域政党の退潮や民主が候補者を絞ったことが要因で、一人区では自民の「不戦勝」が多い。選挙の審判を経ないセンセイがこんなに多くていいの?

 愛知で前回乱立した地域政党の候補は一転、激減する。前回、大村秀章知事が率いる「日本一愛知の会」は二十四人、河村たかし名古屋市長の「減税日本」が十九人を立てたが、今回はそれぞれゼロと四人の予定。

 自民の中堅県議は「地域政党の議員は政治経験の乏しい方が多かった。現実の厳しさを知り、今回はためらっている」とみる。

 一方、民主は候補者を前回の四十五人から四十人に減らす。一人区の多くで勝負を避け、自民に議席を譲る格好だ。

 昨年末の衆院選で少しではあるが党勢を回復しただけに、他党の関係者は「衆院議員が戻ってきた地域でなぜ足踏みするのか」と首をひねる。

 民主の県連幹部は「勝てない選挙区に立てても仕方ない」と話すが、所属県議からは「政権を担っていたときに失った信頼を回復できず、民主から出たいという若者がいない」との嘆きも。

 逆に名古屋市内では、一人区でも自民に勝てる見込みが高いとみており、全十六選挙区のほぼ全区に立てる。ほかに維新、減税、次世代なども候補を立てる予定で、乱戦模様だ。

 無投票が多い状況について、地方自治に詳しい名城大の昇秀樹教授は「民主主義の危機。議員は政策を練り上げる機会を失い、住民は自ら地域の方向性を決めるという責任感が薄れる」と指摘。無投票増加の背景には、不祥事が相次ぐ地方議員のイメージの悪化もあるとみており、「立派な人物がなりたいと思える職業に戻していかなければならない」と話す。

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 中部六県のうち、愛知以外では、岐阜を除く四県で無投票の選挙区が増える情勢となっている。

 福井(十二選挙区)で、無投票となりそうなのは五選挙区で、前回より二選挙区増えそうだ。うち三選挙区で自民系が独占するとみられており、民主県連関係者は「民主自体が斜陽で、なかなか立候補しようという人がいない」。

 三重(十七選挙区)では、前回より三選挙区多い、八選挙区で無投票となる見込み。長野(二十六選挙区)は十一選挙区、滋賀(十三選挙区)は五選挙区でそれぞれ無投票の見通し。

 一方、岐阜(二十七選挙区)では、過去最多だった前回より、四選挙区少ない十三選挙区で、無投票になる見通し。前回の無投票から選挙戦に転じる六選挙区のうち三つは、自民系の分裂が要因となっている。

 (統一地方選取材班)